介護の現場で役立つクレーム対応 ~トラブルを成長のチャンスに変える方法~
2024年11月15日
介護の仕事をしていてクレームを受けることは避けられません。「できればクレームは受けたくない!」と感じる方も多いでしょう。
しかしクレームはどの仕事においても起こり得るものです。どんな些細な言葉や行動がきっかけでクレームに発展するのかは、予測することが難しいものです。時には良かれと思った言葉や行動がクレームの原因になることもあります。特に介護現場では利用者やそのご家族の期待が高く、それに応えられない場合には不満が生じやすい傾向があります。
そのため、クレームを「受けないようにする」ことに注力するよりも、「受けた際にどう対応するか」に重きを置く方が賢明かもしれません。
ある業種では、「クレームはチャンス」と捉え、しっかり対応することが自己成長へ繋がる機会と考えています。とはいえ、クレームはやはり怖いもの。クレームがトラウマとなり職場復帰ができなくなるケースもあると言われます。
ここでは、「クレーム対応」について1.クレームとは、2.クレーム対応の順序、3.介護現場でよくあるクレーム事例と対応策、の順でご紹介します。これらを参考に、クレームにしっかり向き合い、安心して対応に臨めるようにしていきましょう。
1.クレームとは
クレームは単に不満や怒りをぶつけるだけのものではなく、多くの場合、「期待に反した結果にがっかりした」ことが背景にあります。介護の現場においても、利用者やご家族の「こうしてほしい」「ここを直してほしい」という期待が満たされないと、不満が募ってクレームとして現れるのです。
クレームのプラス面
クレーム対応をうまく行うことで得られるメリットは多くあります。以下にその例を挙げてみましょう。
サービス向上のヒントが得られる
クレームには、業務改善に役立つフィードバックが含まれていることが多く、対応を通じて業務の質を高めることができます。
職員同士の指導の材料になる
クレーム対応の経験を通じて学んだことは、他の職員や後輩の指導にも生かせます。共有することで、チーム全体の対応力が高まります。
クレームを「自己成長の機会」として前向きに受け止めることで、介護職としてのスキルを高めるきっかけとしましょう。
2.クレーム対応の基本手順
クレーム対応には冷静で計画的な対応が求められます。以下の手順を守ることで、より効果的に対応でき、相手の満足度も向上します。
1. 謝罪と傾聴
まずは「ご不便をおかけして申し訳ございません」と謝罪の意を伝えましょう。特に重要なのは、相手が話をしている間、しっかり耳を傾けて話を遮らないことです。相手が思いを伝えきることで、怒りや不満が和らぎ、話しやすい状況が生まれます。傾聴によって、相手の気持ちを受け止めることが、冷静な対応につながります。
2. 事実と要望の確認
クレームの内容を正確に把握するために、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)の要領で記録しておきましょう。このメモが後で原因や解決策を考える際の手助けとなります。また、相手が話を落ち着いて伝えられるようになったら、「確認させていただきます」と話し、要点を整理すると良いでしょう。
3. 解決策の提案
クレーム対応の場面では、速やかに回答を示すことが求められる場合もありますが、焦って提案することでかえって信頼を損なうこともあります。冷静に対策を判断するためにも、「上長に相談のうえ、改めて解決策をご提案いたします」と、相手に待ってもらう姿勢を見せることが大切です。
4. 感謝を伝える
最後に、「この度はご指摘いただき、ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えましょう。クレーム対応は、より良いサービスや自己成長に繋がるものです。感謝の姿勢を示すことで、相手も前向きな気持ちになりやすくなります。
全体の注意点
クレーム対応では、「でも」「だって」「ですから」といった反論的な言葉は避け、共感の意を示しましょう。また、相槌を打ちながら相手に寄り添い、安心して話ができる環境を整えることが大切です。
3.介護現場でよくあるクレーム事例と対応策
介護現場では、利用者やそのご家族から多様なクレームが寄せられることがあり、それぞれのケースに応じた対応が求められます。ここでは、よくあるクレーム事例と、その対応策を見てみましょう。
1. 職員の対応が冷たい、頼みにくい
「職員さんが忙しそうで声をかけづらい」「お願いをしても対応が冷たい」といったクレームは少なくありません。忙しい時こそ、利用者が不安に感じない対応が求められます。
- 対応策:「気づかずに申し訳ございませんでした。いつでもお声がけください。また、私どもからも伺うようにいたします」とお伝えすることで、利用者が安心しやすくなります。忙しさを理由にせず、利用者に寄り添う姿勢を示しましょう。
2. 食事に対する不満
「提供された食事が口に合わない」「特定の食材が苦手」など、食事に関するクレームもよく見られます。食事は利用者の楽しみのひとつでもあるため、細やかな配慮が大切です。
- 対応策:「申し訳ございません、○○さんはこちらの食材は苦手ですね。今後はできる限り配慮いたします」と伝えることで、利用者が気にかけてもらっていると感じられるようにします。
3. 約束が守られていない場合
「以前お願いしたことが守られていない」「言われたことと異なる対応をされた」など、過去の約束や説明に対する不満も発生することがあります。
- 対応策:「この度は確認が行き届かず、大変申し訳ございませんでした。次回からしっかり確認し、確実に対応させていただきます」と、信頼を回復するための姿勢を伝えましょう。
4.まとめ
介護の現場でのクレーム対応は、利用者やそのご家族との信頼関係を構築し、サービスの質を向上させる重要な機会です。クレーム対応を通して、自分のスキルを向上させ、より良いサービスを提供できるように努めることが求められます。まずは「クレームは怖いもの」ではなく「自己成長のチャンス」として捉え、冷静で誠実な対応を目指しましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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