医療事務とは?仕事内容・必要なスキル・働き方

医療事務の仕事
掲載日: 2025.05.29
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病院やクリニックなどの医療機関で働く事務職【医療事務】。 
今回は知っているようで知らない?、医療事務の仕事内容や活躍の場などご紹介いたします。
職場によっては無資格・未経験でも働き始めることができる職種なので、興味がある方・転職を検討中の方、ぜひ参考にしてみてください。
 
 

 

1. 医療事務とは  

医療事務とは、病院やクリニックなどの医療機関で働く事務職のことを指します。事務と聞くとデスクワーク中心のイメージを持たれるかもしれませんが、医療事務の仕事はそれだけにとどまりません。受付や会計、診療報酬の請求(レセプト業務)など、医療機関の運営を支える幅広い業務を担っています。

来院された患者さまが最初に接するのは、受付を担当する医療事務のスタッフであることが多く、正確でスムーズな対応が求められます。また、診察後に患者さまの情報をもとに医療費を計算したり、保険制度に基づいた診療報酬の請求を行ったりと、医療機関の経営を支える重要な役割も果たします。

医療の現場では、電子カルテやレセプトコンピュータ(通称:レセコン)などのITツールの活用が進んでおり、パソコン操作に慣れていることが求められる場面も増えています。業務のペーパーレス化も進んでおり、今後さらにITスキルが活かされる仕事になると考えられます。

 

2. 医療事務の主な仕事内容  

医療事務の仕事内容は、大きく分けて「受付業務」「会計業務」「レセプト業務」「クラーク業務」の4つに分類されます。それぞれの業務内容について、詳しく見ていきましょう

受付業務

受付業務は、医療事務の中でもっとも患者さまと接する機会の多い仕事です。病院の第一印象にも関わるポジションです。

  • 患者さまの来院受付
  • 健康保険証の確認
  • カルテの作成(初診の場合)
  • 問診票の記入依頼
  • 診療科への案内
  • 電話対応や予約受付

会計業務

診療が終わった患者さまに対し、診療内容に応じた医療費の計算を行い、支払いの手続きを進めるのが会計業務です。医療費の計算は基本的にコンピュータ(レセコン)で自動処理されますが、保険証の確認や計算結果のチェックなど、正確な処理が求められます。

  • 診療費用の計算
  • 自己負担額の算出(保険証の内容に基づく)
  • 支払い処理
  • 領収書の発行
  • 診療科への案内
  • 保険請求に関する手続き

レセプト業務(診療報酬請求)

医療事務の中でも専門性が高く、正確な作業が求められるのがレセプト業務です。レセプトとは、「診療報酬明細書」のことで、医療機関が保険者(健康保険組合や国民健康保険団体など)に対して診療費を請求する際に提出する重要な書類です。以下のような作業があります

  • 診療情報をレセプトコンピュータに入力
  • レセプトを作成
  • 記載内容を点検・確認(傷病名・処置・薬の整合性チェックなど)
  • 審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金など)に提出

クラーク業務

クラーク業務は、医師や看護師など医療スタッフの事務的なサポートを行う業務です。担当場所によって、以下の2種類に分かれます。

【外来クラーク】

外来クラークは、外来診療の現場で診療をスムーズに進めるための準備や調整を担当します。

  • 受付業務や電話対応
  • カルテやレントゲンの準備
  • 検査予約、診療スケジュール管理
  • 医師と患者さまの橋渡し

【病棟クラーク】

病棟クラークは、入院病棟で発生する事務作業全般を担当します。病棟のナースステーションに常駐し、各病棟に1〜2名程度が配置されるのが一般的です。

  • 入退院の手続き
  • ナースステーションでの電話応対
  • 面会者の案内
  • 食事伝票や手術・検査スケジュールの管理
  • カルテや検査伝票の整理・準備
  • 備品の在庫管理や発注

 

3. 医療事務になるには? 

資格は必要?

医療事務として働くために、特別な資格や学歴は必須ではありません。実際には「資格・経験不問」とする求人もあり、採用後に知識やスキルを身につけていくケースも見られます。

ただし、医療機関によっては採用時に資格の有無を重視する場合もあります。そのため、あらかじめ医療事務の基礎を学び、資格を取得しておくことで、就職の選択肢が広がり、業務にも早く慣れることができるでしょう。資格を持っていても、それだけで採用が決まるとは限らず、実務経験や人柄なども含めた総合的な評価が行われます。

医療事務に求められるスキル

コミュニケーション能力・接遇スキル

医療事務は、受付や会計対応などで患者さまと直接接する機会が多く、さらに医師や看護師と連携しながら業務を進める場面も少なくありません。そのため、丁寧な対応や円滑なやりとりを行うためのコミュニケーションスキルが必要です。
また、言葉遣いや表情、態度など、基本的な接遇マナーも求められます。

パソコンスキル

電子カルテやレセプトソフトの導入が進んでいる現在、医療事務には基本的なパソコン操作スキルが求められます。文字入力やデータ管理、簡単な書類作成など、一般的な業務ソフト(Word、Excelなど)の基本操作ができると安心です。

数字の扱いに抵抗がないこと

診療報酬や医療費の計算など、数字を扱う業務が多く含まれます。複雑な計算は多くありませんが、金額の確認や点数の入力などを正確に行えることが大切です。

 

4. 医療事務に役立つ資格  

医療事務の資格は、医師や看護師のような国家資格ではなく、民間の職能団体が認定する資格です。
資格がなくても医療事務として働ける場合もありますが、医療機関によっては資格を応募条件としていたり、採用時に有無を重視することもあります。
そのため、資格を取得しておくことで、応募できる求人の幅が広がり、選考でも評価されやすくなるでしょう。資格手当が支給されるなど、待遇面でのメリットも期待できます。

学習方法について

【通学型】

  • 専門学校・短期大学
  • 職業訓練校(公共職業訓練・求職者支援訓練)
  • 民間の資格スクール

【自宅学習型】

  • 通信講座
  • オンラインスクール・eラーニング
  • 独学(市販テキスト・問題集)

最近では、紙ベースの教材に加え、eラーニング(映像講義・Web添削など)を組み合わせた「ハイブリッド型」の通信講座も増えています。

医療事務の代表的な資格

医療事務に関連する資格は多数あります。以下に代表的なものを紹介します。

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)(一般財団法人 日本医療教育財団)
https://www.jme.or.jp/exam/mc/index.html

診療報酬請求事務能力認定試験(公益財団法人 日本医療保険事務協会)
https://www.iryojimu.or.jp/exam/

医療事務管理士®技能認定試験(JSMA技能認定振興協会)
https://www.ginou.co.jp/qualifications/iryojimu.html

医療事務検定試験(日本医療事務協会)
https://www.ijinet.com/course/iryou/kentei/

医療情報実務能力検定試験(日本情報処理検定協会)
https://www.medin.gr.jp/exam_sche/exam_med_info.html

医療事務認定実務者(R)試験(全国医療福祉教育協会)
https://iryou-shikaku.jp/exam/certified_practitioners.php

※各資格の詳細については、公式サイト等のリンク先をご参照ください。

 

5. 医療事務の主な就職先  

医療事務の就職先は、病院やクリニックをはじめ、調剤薬局や歯科医院、健診センターなどさまざまです。勤務先によって業務の範囲や働き方が異なります。

病院

病院とは、入院ベッドが20床以上ある医療施設を指します。診療科の数も多く、規模が大きく診療科も複数あるため、業務は分業制になっているケースが一般的です。受付、会計、レセプト、クラーク業務(外来・入院)などが分担され、役割ごとに配置されるケースが多くなっています。

大規模な総合病院などでは、医療事務スタッフの人数も多く、診療科ごとに医療事務スタッフが配置されていたり、定期的な配置転換があったりします。

クリニック(診療所)

クリニックは、入院ベッドが19床以下の小規模な医療施設で、地域の「かかりつけ医」としての役割を担っています。病院に比べてスタッフ数が少ないため、医療事務スタッフが受付、会計、診療補助、電話対応、雑務などを幅広く担当することが一般的です。

歯科医院

歯科医院では、受付や会計、予約管理、レセプト作成などの事務業務に加え、治療の準備や器具の消毒などを手伝う「歯科助手」としての業務を兼ねる場合もあります。

自由診療や選定療養といった保険適用外の診療も多いため、保険制度に加え、自由診療の料金体系についての理解も必要です。歯科医院は全国に数が多く、求人も比較的豊富な傾向があります。

調剤薬局

調剤薬局では、医療事務は「調剤事務」と呼ばれ、受付業務や処方箋の確認、会計、調剤報酬請求(レセプト)などを担当します。薬剤師の調剤業務を直接手伝うことはありませんが、処方箋の内容を正しく取り扱うためには、薬に関する基礎知識も求められます。

調剤薬局での勤務を希望する場合は、「調剤報酬請求事務技能認定」や「調剤事務管理士®技能認定試験」といった調剤事務に特化した資格を取得しておくと業務に役立ちます。

健診センター・検診施設

健診センターや検診施設では、主に健康診断の受付、問診票の確認、データ入力、結果報告書の作成補助などを担当します。

 

6. 医療事務の働き方と雇用形態 

医療事務は、正社員のほか、特にクリニックのような小規模な医療機関では、パートタイマーや派遣社員として働く人も多くいます。

勤務時間は、基本的には医療機関の診療時間に合わせた日勤が中心です。ただし、夜間診療や救急対応、休日診療を行っている病院では、夜勤やシフト制を導入している場合もあります。また、毎月の診療報酬請求(レセプト)業務の提出前には業務量が増えるため、月末月初は残業が発生しやすくなります。

さらに、医療事務の仕事は、医療機関に直接雇用されるだけでなく、人材派遣会社や委託会社を通して働くケースもあります。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、医療事務の有効求人倍率は「2.0」であるのに対し、一般事務は「0.33」と大きな差があります。この数値からも分かるように、医療事務は他の事務職に比べて求人が多く、就職のチャンスが比較的高い職種といえます。

 

7.転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用  

医療・介護分野での転職には、専門の求人情報プラットフォームであるJobSoel(ジョブソエル)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。

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8.まとめ

医療事務の場合は一般事務と異なり、デスクワークとどまらず、受付や会計・診療報酬の請求など様々な業務を担い医療機関の運営を支えています。
医療事務として働く際に役立つ資格は複数あるので、取得しておくことで、応募できる求人の幅も広がりますよ!
また勤務先も様々あり、その職場によって業務範囲や働き方も異なりますので、ライフスタイルに合わせて職場探しができます。
この記事をきっかけに少しでも医療事務という仕事に興味を持っていただけたら幸いです。 

 

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