介護事務とは?仕事内容・必要なスキル・働き方

介護事務の仕事
掲載日: 2025.08.04
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1. 介護事務とは  

介護事務とは、介護施設や在宅介護サービス事業所で働く事務職のことを指します。介護スタッフのように直接介護を行うのではなく、デスクワークを中心に施設全体の運営を事務的な側面から支える役割を担っています。中でも、介護報酬請求業務は介護事務の中心的な業務であり、施設の収入に関わる重要な仕事です。このほか、電話応対や来客対応、勤怠管理、備品の発注など、業務は多岐にわたります。人と接する場面も多いため、丁寧な応対や正確な事務処理が求められる仕事です。

2. 介護事務の主な仕事内容  

介護報酬請求(レセプト)業務

介護事務の中核となるのが、介護報酬請求に関する業務です。介護サービスを提供した事業所は、利用者さまが1~3割を自己負担し、残りの費用を市町村が負担する仕組みになっています。その市町村負担分を受け取るために必要なのが「介護給付費明細書(レセプト)」です。介護事務は、ケアプランやサービス提供記録と照らし合わせながら、専用のソフトを使ってレセプトを作成し、国民健康保険団体連合会へ提出します。月末から翌月10日までが提出期間であり、この時期は特に業務が集中します。

利用者さまへの請求書作成

介護事務は、市町村に提出するレセプトとは別に、利用者さま本人への請求書も作成します。利用者さまの自己負担割合(1~3割)は人によって異なるため、個別に計算し、間違いのないように請求書を発行する必要があります。

電話応対・窓口対応

電話や来客対応などの受付業務も行います。利用者さまのご家族や関係機関からの問い合わせ、見学希望者への対応、郵便物の仕分けや取次ぎなど、来客応対は多岐にわたります。

労務・シフト管理

職員の出退勤やシフトの管理、場合によっては給与計算などの労務関連の業務も介護事務が担当します。職場によっては、総務や経理の業務と兼任するケースもあります。

備品管理・施設の運営補助

施設内で使用する備品や消耗品の在庫管理、発注業務も介護事務の仕事です。事務用品から医療・衛生関連の備品まで幅広く対応する必要があり、在庫切れを防ぐための定期的なチェックや発注スケジュールの管理が求められます。建物や設備の修繕手配など、運営を支える裏方としての業務もあります。

介護職の補助(事業所による)

一部の事業所では、介護事務が現場の補助業務を担うこともあります。具体的には、清掃、洗濯、ベッドメイク、食事の配膳・下膳、送迎などが挙げられます。身体介助を行うことは基本的にありませんが、人手が足りない場合などに柔軟に対応できる体制が求められる場面もあります。どの程度関わるかは、事業所によって異なります。

3. 介護事務は未経験でもできる?必要なスキルとは  

介護事務は、資格がなくても働くことができる職種です。事務職や介護業界での経験がない方でも応募できる求人はあり、未経験から始める人も少なくありません。ただし、職場によっては介護事務に関する資格を持っている人を優先的に採用するケースもあります。

業務には専用のソフトやパソコンを使った入力作業が含まれるため、基本的なパソコン操作スキルは必要です。Excelやメールの使用に加えて、レセプト作成システムへの入力も日常的に行います。また、電話応対や窓口業務など、人と接する機会も多いため、社会人としてのビジネスマナーや丁寧なコミュニケーションも求められます。

介護保険制度や介護報酬の仕組みについては、資格取得や事前の学習で基礎を身につけることはできますが、実際の職場で経験を重ねながら理解を深めていくことも多くあります。制度は定期的に見直しが行われるため、入職後も情報を更新しながら理解を深める必要があります。

事務以外の業務も柔軟に対応する場面があります。たとえば、来客時の対応や備品管理、場合によっては施設内の軽作業を担うこともあります。幅広い業務に対応する姿勢も大切です。

4. 介護事務に役立つ資格  

介護事務として働くために資格は必須ではありませんが、業務では介護保険制度や介護報酬請求に関する知識が求められます。こうした知識をあらかじめ身につけておきたい場合には、民間の資格取得が有効です。資格を取得しておくことで、知識の習得に加えて就職や転職時にスキルを証明しやすくなるという利点もあります。

介護事務に関する資格は主に民間団体によって実施されており、それぞれ試験内容や受験方法、受験資格の有無が異なります。主な資格と実施団体は以下の通りです(※詳細は各団体の公式サイトをご確認ください)

ケアクラーク®(一般財団法人 日本医療教育財団)
https://www.jme.or.jp/exam/cc/index.html

介護事務管理士®(JSMA技能認定振興協会)
https://www.ginou.co.jp/qualifications/kaigo-jimu.html

介護報酬請求事務技能検定試験(日本医療事務協会)
https://www.ijinet.com/course/kaigo/kentei/

介護事務認定実務者(R)(全国医療福祉教育協会)
https://iryou-shikaku.jp/exam/longterm_practitioners.php

介護保険事務管理士(日本病院管理教育協会)
https://www.jh-mgt.org/kaigohokenjimu.html

また、介護事務に直接関連する資格以外にも、業務に役立つ知識やスキルを証明できる資格があります。たとえば、介護職員初任者研修や実務者研修を取得していれば、介護業界全体への理解が深まり、職場内での連携にも役立ちます。医療事務の資格や経験も、保険制度や請求業務の知識が共通しているため、介護事務に応用しやすいとされています。

そのほか、経理を担当する機会がある職場では簿記資格(特に2級以上)、事務作業全般に必要なパソコンスキルを証明するMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)、送迎業務が含まれる職場では普通自動車運転免許なども有利に働く場合があります。

5. 介護事務の主な就職先  

介護事務は、介護保険サービスを提供する多様な施設や事業所で事務業務を担っており、次のような職場が主な勤務先として挙げられます。

  • 特別養護老人ホーム(特養)
    介護が必要な高齢者が長期的に入所する施設。規模によっては事務スタッフが複数名配置されることもあります。
  • 介護老人保健施設(老健)
    医療ケアとリハビリを提供する中間施設。医療機関との連携もあり、医療事務と似た業務もあります。
  • 有料老人ホーム
    民間が運営する高齢者向け施設。事務業務のほか、利用者さまやご家族さまとのやりとりも多い傾向があります。
  • グループホーム
    認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設。少人数運営のため、業務範囲が広くなる場合があります。
  • デイサービス(通所介護)
    在宅の高齢者が日帰りで通うサービス施設。利用者さまの出入りが多く、受付業務が重視されることもあります。
  • 訪問介護事業所
    ヘルパーが利用者さま宅を訪問するサービスを提供する事業所。訪問予定や利用者情報の管理、連絡調整の補助など、細やかな事務作業が求められます。
  • 訪問看護ステーション
    看護師による訪問医療を行う事業所。介護保険と医療保険の両方に関わる請求業務を扱うことがあります。
  • 地域包括支援センター
    高齢者の総合相談窓口として機能する公的機関。行政や他の介護サービス事業所とのやりとりもあります。

就職先によって、事務の担当範囲や関わるスタッフの構成、利用者さまとの接点の多さなどが異なります。施設の規模が大きい場合は事務職専任となることが多く、小規模施設では他業務を兼任するケースもあります。

6. 介護事務の働き方と雇用形態  

介護事務では、非常勤(パート・契約社員など)で働いている人の割合が比較的高く、就業者の多くが女性です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、介護事務職のうち約4割がパートタイマーとして勤務しています。

勤務時間は主に日勤帯で、9:00〜17:00前後が一般的です。介護施設の中には24時間体制で運営されているところもありますが、介護事務は基本的に日中のみの勤務で、夜勤はありません。また、土日を休日としている事業所も多く、これは病院や役所など、連携先の多くが土日休みであることが影響しています。

主な業務である介護報酬請求(レセプト)業務は、月末にサービス実績をまとめ、月初に請求書類の作成・チェック・提出を行うというサイクルで、ほぼ毎月同じスケジュールで繰り返されます。月末から月初にかけては介護報酬請求業務が集中するため、この期間は残業が生じやすく、場合によっては休日出勤を求められることもあります。大規模な施設などでは、請求業務に特化して月末月初のみ勤務するような働き方が採用されているケースもあります。

介護事務は求人の多さも特徴のひとつです。2023年の有効求人倍率は介護事務が1.92、一般事務が0.33とされており、他の事務職に比べて求人が見つかりやすい状況にあります。このため、一般事務や営業事務など、他職種での事務経験を活かして介護事務に転職する人も見られます。

7. 介護事務と医療事務の違いとは?  

介護事務と医療事務は、どちらもレセプト(請求明細書)を作成し、保険者へ報酬を請求する事務職です。医療事務は健康保険制度に基づいて診療報酬を扱い、主に病院やクリニックで勤務します。一方、介護事務は介護保険制度に基づき、介護サービスに対する介護報酬の請求業務を行い、介護施設や訪問介護事業所などで働きます。保険制度や報酬の仕組みが異なるため、使うソフトや知識の内容もそれぞれに特化しています。

参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/436

8.転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用  

医療・介護分野での転職には、専門の求人情報プラットフォームであるJobSoel(ジョブソエル)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。

▼求職者様_会員登録ページ
https://jobsoel.com/sign-up
▼企業・法人様_会員登録ページ
https://jobsoel.com/company-sign-up

 

9.まとめ  

介護事務は、介護現場を支える重要な仕事です。
専門知識を身につけながら幅広い業務に携わることで、やりがいと成長を感じられる職種です。
未経験から挑戦できる環境も多いため、少しでも興味のある方はぜひ挑戦してみてください。
このコラムが、介護事務という仕事を知り、キャリアを考えるきっかけになれば幸いです。

 

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