【予算ゼロから】新規開所の訪問看護ステーションが利用者を集める方法|開業直後の無料・低コスト営業術
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訪問看護ステーションを新規開設する場合、多くの看護師出身の経営者が直面する最大の壁が「どうやって利用者を増やすか(新規件数の獲得)」という営業面の手順です。
開業準備期は、指定申請の手続きや事務所の環境整備、スタッフの採用活動に追われがちですが、いざ看板を掲げても、開所直後から自動的に利用者が集まるわけではありません。
訪問看護は、利用者やご家族がインターネット経由で直接申し込むケースよりも、病院の退院支援部門や、地域の居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)からの「紹介」によって繋がるルートが圧倒的多数を占めます。そのため、スタートダッシュを決めるには、開所前から戦略的な地域アプローチを仕掛けておくことが不可欠です。
💰 開所直後の資金ショートを防ぐために
訪問看護は、サービスを提供してから介護報酬・診療報酬が実際に入金されるまでに約2ヶ月のタイムラグがあります。
利用者が集まるまでの運転資金の持たせ方や、活用すべき融資・補助金の知識は下記コラムで詳しく解説しています。

【2026年度】訪問看護の開業資金相場と調達ガイド|創業融資・補助金・助成金の活用法
目次
- 1. 開業前から地域の需要を調査する(地域のアセスメント)
- 【具体策】ネットと足で稼ぐ!超簡単な情報収集ステップ
- 2. 最重要ターゲット:ケアマネジャーとの関係づくり
- 【具体策】明日からできるケアマネジャー営業のアクション
- 3. 病院の「地域連携室・退院支援部門」へのダイレクト営業
- 【具体策】元・病棟看護師の強みと「勤務時代のネットワーク」を活かしたアプローチ
- 4. 地域の医療・介護ネットワークへ泥臭く飛び込む
- 【具体策】「地域の顔」になるための連携の広げ方
- 5. ホームページとSNS・Googleマップを活用したWeb動線の構築(無料・安価で始める)
- 【具体策】コストゼロから始めるWeb導線
- 6. 開業直後は「利用者数」ではなく「紹介ルートの総数」を追う
- まとめ|地域から選ばれる仕組みづくりが成功の鍵
1. 開業前から地域の需要を調査する(地域のアセスメント)
営業活動を始める前に、まずは「自分が勝負するエリアに、どのような患者(利用者)さんがいて、何に困っているか」を調べます。
難しいことのように思えますが、これは病院で新しい患者さんを受け持つときの「情報収集(アナムネシス)」や「看護アセスメント」とまったく同じです。地域という名の大きな患者さんをアセスメントする感覚で、以下のポイントをチェックしてみましょう。ただ漠然と「何でもやります」とアピールするだけのステーションはケアマネジャーの記憶に残りませんが、地域に合わせた「強み」を提示できれば、最初の1件の紹介に直結します。
【具体策】ネットと足で稼ぐ!超簡単な情報収集ステップ
行政の難しいデータとにらめっこしなくても、以下の方法で簡単に地域のニーズが分かります。
- ステップ①:役所のホームページで「介護保険事業計画」を見る Googleで「 [開業する市区町村名] 介護保険事業計画 」と検索してみてください。役所が作った冊子のPDFが無料で見つかります。
目次を見て「高齢者人口の推移」や「要介護認定者の現状」と書かれた数ページだけを拾い読みします。
「この街は75歳以上が急増しているな」「要介護3以上の重度者が多いな」といった大まかな特徴を掴むだけで十分です。 - ステップ②:競合ステーションの「特色」を調べる 近隣にある既存の訪問看護ステーションのホームページやパンフレットを集めます。
「リハビリスタッフが多い」「精神科に特化している」「歴史が長くてベテランが多い」など、ライバルたちの得意分野を確認します。 - ステップ③:地域で「足りていないピース(病院やケアマネが本当に困っていること)」を探す ステップ①と②を組み合わせると、その地域で本当に求められている看護が見えてきます。
医療依存度が高い地域(病院が周囲に多い): 24時間体制、点滴やカテーテル管理、特定医療機器の対応
独居の高齢者が多い地域: 認知症ケア、自宅での看取り(ターミナルケア)の積極的受け入れ
ライバルがやっていない分野: 精神科訪問看護、小児・障害分野の訪問看護
病院時代に「うちの病棟はいつもこういう患者さんの退院先が見つからなくて困っていたな」という経験を思い出し、地域のニーズと自所の強みを合致させることが、信頼されるステーションになるための最短ルートです。
2. 最重要ターゲット:ケアマネジャーとの関係づくり
新規開所のステーションにとって、最大の紹介元となるのが居宅介護支援事業所の「ケアマネジャー(介護支援専門員)」です。彼らは利用者のケアプランを組み立てる司令塔であり、常に「信頼して動いてくれる訪問看護師」を探しています。
看護師にとって馴染みの薄い相手かもしれませんが、「退院カンファレンスで一緒にプランを立てる社外のパートナー」と捉えるとイメージしやすいでしょう。
【具体策】明日からできるケアマネジャー営業のアクション
- 初回の挨拶回りは「開所の1ヶ月前」からスタート 近隣の居宅介護支援事業所をすべてリストアップし、パンフレットや事業所紹介のチラシ(A4用紙1枚に強みやスタッフの顔写真をまとめたもの)を持参して訪問します。
スーツではなく、あえて清潔なスクラブ(ユニフォーム)にジャケットを羽織って行くと、一目で「看護師が来た」とわかり、安心感を持たれやすくなります。 - 「3ステップ」の定期的訪問ルールを作る 1回訪問して終わりでは忘れられます。
①開所前:『○月にオープンします』の挨拶
→ ②開所直後:『無事開所しました、いつでも動けます』の報告
→ ③その後:月1回、現在の受け入れ可能枠(空き状況)を書いたレポートを持参
と、最低3回は顔を合わせるスケジュールをカレンダーに組んでおきます。 - これまでの「退院調整の繋がり」を辿る 病院勤務時代に退院カンファレンスや病棟での面談で一緒に仕事をしたケアマネジャーがいれば、真っ先に連絡を取りましょう。
「今度、この地域で訪問看護を立ち上げることになりました」と伝えるだけで、ゼロから関係を作るより何倍も早く「それなら早速、相談したい人がいるんだけど」と紹介に繋がるケースが多々あります。 - 「看護師だから話せる」ミニ勉強会を提案する 「医療処置が必要な利用者の在宅療養のコツ」や「家でできる最新の褥瘡(床ずれ)ケア」など、ケアマネジャーが日々の業務で判断に悩みやすい医療テーマについて、15〜30分程度のミニ勉強会を事業所単位で提案します。
看護師としての専門知識を伝えるだけで、強力な信頼を獲得できます。

3. 病院の「地域連携室・退院支援部門」へのダイレクト営業
訪問看護が必要になる大きなきっかけの一つが「病院からの退院」です。特に、在院日数の短縮化が進む現在の医療環境において、病院側は「一刻も早く、安心して自宅へ返せる受け皿」を求めています。あなたが病棟看護師だった頃、退院調整で慌ただしくやり取りしていたあの窓口が営業先です。
【具体策】元・病棟看護師の強みと「勤務時代のネットワーク」を活かしたアプローチ
営業先はドクター個人だけでなく、実務を仕切る「地域医療連携室」「退院支援看護師」「医療ソーシャルワーカー(MSW)」が中心となります。近隣の急性期病院、回復期リハビリ病院、地域包括ケア病棟を持つ医療機関を狙い撃ちします。
ここで最大の武器になるのが、「自分が以前働いていた病院」や「これまでの勤務で関わりのあった医療従事者」のネットワークです。
- 古巣の病院・病棟へのアプローチ: 元同僚の看護師長や先輩・後輩、よく一緒に仕事をしたMSW(医療ソーシャルワーカー)へ退職後も連絡を取り、直接パンフレットを手渡します。
「あなたが始めたステーションなら、看護の質も人柄も分かっているから紹介しやすい」と、強力な味方になってくれます。 - 関わりのあった医師(主治医)への報告: 病棟で一緒に患者を診ていた医師にも、開業の挨拶状を送るか直接挨拶に伺います。
ドクターから連携室に対して「今度あいつが訪看始めるから、退院調整のときは声かけてやって」と一声かけてもらえるだけで、病院からの紹介ルートは一気に強固なものになります。
元看護師だからこそ、病院側が「退院調整時に何に困っているか」が手に取るようにわかるはずです。窓口では、一目でわかる「対応可否一覧表」を提示し、以下の5点をアピールします。
- 1. 即応性: 「本日・明日退院のような急なケースでも、即日調整して訪問可能です」
- 2. 24時間体制: 緊急訪問体制や、夜間のオンコール連絡体制の有無
- 3. 対応疾患・処置: がん末期、難病、人工呼吸器、IVH、褥瘡処置、カテーテル管理の可否
- 4. 看取り実績: 自宅での看取りにどこまで深くコミットできるか
- 5. 訪問エリア: 自車・自転車で何分圏内までカバーしているか(ルートの提示)
病院の相談員は多忙です。「とにかく紹介してください」ではなく、「この疾患の退院調整で困ったら、うちが30分以内に調整をつけます」という、病棟・連携室目線のメリットを提示してください。
4. 地域の医療・介護ネットワークへ泥臭く飛び込む
訪問看護は、単独のサービスだけで完結するものではありません。地域包括ケアの枠組みの中で、他職種と密に連携している姿を見せることが、巡り巡って紹介のチャンスを増やします。
【具体策】「地域の顔」になるための連携の広げ方
- 地元のクリニック(主治医)への挨拶 訪問看護指示書を発行してもらうことになる地元のクリニックや医師会へ挨拶に赴き、自所の看護師の経歴や得意分野(例:心不全管理、緩和ケア、認知症看護など)を伝えます。
「病院の主治医と密に連携してきた看護師です」という実績は、開業医の先生方にとっても非常に心強い味方になります。 - 薬局・訪問介護(ヘルパー)・デイサービスとの情報交換 「最近、このエリアのヘルパー不足はどうですか?」「服薬管理で困っている事例はありませんか?」など、地域の課題をヒアリングするスタンスで横の繋がりを作ります。
- 地域包括支援センターへの定期報告 介護保険の手前段階(軽度者や特定高齢者)の相談が集まる地域包括支援センターへ定期的に足を運び、ステーションの稼働状況や「現在、あと何名受け入れ可能か」の枠を伝えておきます。
最初は「うちを利用してください」という営業姿勢ではなく、「地域の医療インフラの一員として、一緒にお手伝いさせてください」という、看護師としてのギブの精神で動くことが、結果として紹介を生む近道になります。
5. ホームページとSNS・Googleマップを活用したWeb動線の構築(無料・安価で始める)
紹介営業がメインとはいえ、ケアマネジャーや病院のソーシャルワーカー、利用者のご家族が「どんなステーションなのか、どんな看護師がいるのか」をネットで検索して確かめるケースが激増しています。
「まずは予算をかけずに自所の情報を開示する」ことを最優先に、無料や安価でできるツールを使ってWeb上の受け皿を賢く用意しましょう。
【具体策】コストゼロから始めるWeb導線
- ホームページは「無料作成ツール」で十分作れる 制作会社に何十万円も払わなくても、専門知識なしで直感的にホームページが作れる無料サービスが数多くあります。
掲載内容: 料金、問い合わせ先に加え、「スタッフの顔写真とプロフィール」「開設者の想い」を載せて安心感を視覚的に伝えます。
「どんなキャラクターの看護師が来るか」が見えるだけで、紹介のハードルは一気に下がります。 - Googleマップ(MEO対策)への登録(完全無料) Googleマップに自所を表示させる「Googleビジネスプロフィール」は完全無料で利用できます。
「〇〇市 訪問看護」などで検索された際、地図上に自所の住所、電話番号、営業時間、外観やスタッフの写真が表示されるようになり、地域での見つけやすさが大幅に向上します。営業活動を始める前に必ず登録しておきましょう。 - SNS(Instagram・Xなど)の活用で「人柄」を伝える(完全無料) 文字や写真だけで伝わりきらないステーションの雰囲気を発信するツールとして、SNSの運用は非常に有効です。お金をかけずに認知を広げる最強のツールになります。
発信内容の例: 事務所の様子、新しく導入した物品の紹介、スタッフの日常や仕事への想い、訪問の合間のちょっとした一コマなど。
メリット: ケアマネジャーや求職者が日常的にチェックしていることも多く、「ここなら明るくて相談しやすそう」「スタッフ同士の仲が良さそう」といった親近感を持ってもらうきっかけになります。
※利用者の個人情報やプライバシーが写り込まないよう、投稿ルールはあらかじめ徹底しておきましょう。
6. 開業直後は「利用者数」ではなく「紹介ルートの総数」を追う
訪問看護ステーションが開設初月から満員になるケースは極めて稀です。初期は利用者が少ないにもかかわらず、スタッフの人件費、事務所の家賃、車両リース代などの固定費が先行して出ていきます。
ここで焦ってしまい、「なぜ利用者が増えないんだ」と数字だけを見て目先の結果に一喜一憂するのは禁物です。開業初期の数ヶ月間は、KPI(重要業績評価指標)の置き方を変えましょう。
- × 追うべきではない指標: 今月の新規利用者獲得数
- ◯ 徹底管理すべき指標(行動量):
・今月、新規で訪問した居宅介護支援事業所の数
・名刺交換を行い、自所の強みを認知してもらったケアマネジャーの人数
・アプローチした医療機関(地域連携室)の件数

分母となる「顔の見える紹介ルート」を泥臭く増やし続ければ、地域で「あそこの訪問看護、最近よく顔を出すし、熱心だな」と評判が立ち、ある時期を境に紹介の電話がドカンと増えるブレイクポイントが必ずやってきます。
まとめ|地域から選ばれる仕組みづくりが成功の鍵
新規開所の訪問看護ステーションが利用者を増やすためには、派手な広告に頼るのではなく、地域の医療・介護関係者とどれだけ「泥臭く、顔の見える信頼関係」を築けるかに尽きます。
看護師としての専門性と病棟での経験は、地域医療の現場において非常に強力な武器になります。自所の強みを明確にした情報発信を続け、ケアマネジャーや病院の退院支援部門の「一番の相談相手」になること。これこそが、長期的に安定して紹介が生まれ続ける仕組みづくりの正攻法です。
👥 開業ダッシュを決める「強力なチーム」の作り方
どれだけ素晴らしい営業活動を行っても、いざ紹介が来たときに現場を支える看護師が不足していれば、受け入れを断らざるを得なくなります。最初の紹介を確実に獲得し、質の高いケアを提供するための採用ノウハウは なぜ訪問看護のオープニングスタッフは集まらない?求職者が応募したくなる求人票の書き方 で詳しく解説しています。

なぜ訪問看護のオープニングスタッフは集まらない?求職者が応募したくなる求人票の書き方
医療・介護・福祉分野に特化した求人サイト「ジョブソエル(Jobsoel)」では、訪問看護の地域特性や市場ニーズを知り尽くした専門アドバイザーが、開業スケジュールに合わせたオープニングスタッフの採用戦略をサポートしています。
地域のケアマネジャーや病院から「ここなら安心して任せられる」と思われるような、経験豊富で熱意のある看護師・リハビリ職の確保に向け、求人原稿の作成からターゲットへの直接アプローチ(スカウト代行)までトータルで並走いたします。無駄のない立ち上げと、確実な地域連携体制の構築のために、ぜひジョブソエルの活用をご検討ください。
\利用者獲得のチャンスを逃さない訪問看護の採用体制づくりを/
医療・介護・福祉専門の採用プラットフォーム「ジョブソエル」
地域への営業や関係づくりによって紹介につながっても、訪問できる看護師やリハビリ職が不足していれば、利用者の受け入れが難しくなることがあります。
ジョブソエルは、医療・介護・福祉分野に特化した採用プラットフォームとして、訪問看護ステーションの開業前から開業後まで、必要な人材の採用をサポートします。
- 訪問看護師など専門職の採用に対応 看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの求人を掲載できます。
- 開業前からオープニングスタッフを募集可能 新規開設予定の訪問看護ステーションでも求人を掲載でき、開所に向けた人員確保に活用できます。
- 訪問看護ならではの働き方を詳しく発信 オンコール体制、訪問エリア、教育体制、勤務条件など、求職者が応募前に知りたい情報を求人で伝えられます。
- 利用者の増加を見据えた人材確保にも活用 開業後の利用者数や採用状況に合わせて、看護師やリハビリ職など必要な職種の求人を掲載できます。
- 採用コストを抑えて始めやすい 掲載費無料でスタートでき、採用状況や目的に合わせて利用できます。
ケアマネジャーや病院からの紹介を受けられる体制を整えるためにも、地域への営業活動とあわせて採用準備を進めてみませんか?訪問看護ステーションの人材確保に、ジョブソエルをご活用ください。