【初めての独立】訪問看護ステーションの開業手順|必要条件・人員基準・指定申請の流れを完全ガイド
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はじめに:
高齢化の進展や在宅医療のニーズ拡大により、訪問看護ステーションの開業を検討する看護師や法人が増えています。
しかし、訪問看護ステーションは「看護師がいればすぐ開業できる」というものではありません。介護保険法や健康保険法に基づく指定を受ける必要があり、人員配置や設備、運営体制などさまざまな基準を満たす必要があります。
この記事では、訪問看護ステーションの開業に必要な条件や準備、指定申請までの流れをわかりやすく解説します。
目次
- 訪問看護ステーションとは?役割と主なサービス内容
- 訪問看護で提供される6つの主なサービス
- 在宅医療のニーズ拡大で高まる訪問看護の重要性
- 訪問看護ステーションを開設できる5つの法人形態
- 株式会社・合同会社・医療法人などの特徴
- どの法人形態を選ぶべき?
- 訪問看護ステーション開業に必要な「人員基準」
- 管理者(常勤1名・保健師または看護師)
- 看護職員(常勤換算2.5人以上)
- リハビリテーション職員(PT・OT・STの配置)
- 24時間対応体制を整える場合
- 指定申請前に自治体へ確認を
- 訪問看護ステーション開業に必要な「設備基準」
- 法令上求められる専用事務室の要件
- 実務上、準備が必要となる設備・備品一覧
- 個人情報保護・感染対策の運用ルール整備
- 訪問看護ステーション開業・指定申請までの5ステップ
- ①事業計画を作成する(目安:1~2か月)
- ②資金を準備する(目安:1~2か月)
- ③スタッフを採用する(目安:2~3か月)
- ④業務体制を整える(目安:1~2か月)
- ⑤指定申請・審査(目安:1~2か月)
- まとめ
訪問看護ステーションとは?役割と主なサービス内容
訪問看護ステーションとは、病気や障害を抱えながら自宅で生活する方に対し、看護師などの医療専門職が利用者の自宅を訪問して看護サービスを提供する事業所です。
医師の指示書に基づき、病状の観察や医療処置、療養生活の支援などを行い、利用者が住み慣れた地域や自宅で安心して生活を続けられるようサポートします。
近年は高齢化の進展や在宅医療の推進により、「病院で治療を受ける」から「自宅で療養しながら生活する」という考え方が広がっています。そのため、訪問看護ステーションは医療機関や介護サービス事業者、ケアマネジャーなどと連携し、地域包括ケアシステムを支える重要な役割を担っています。
訪問看護で提供される6つの主なサービス
訪問看護では、利用者の病状や生活環境に応じて、さまざまな看護サービスを提供します。
病状・健康状態の観察
体温・血圧・脈拍・呼吸などのバイタルサインを測定し、病状の変化を確認します。異常があれば、主治医や関係機関へ速やかに報告し、適切な対応につなげます。
医療処置
医師の指示に基づき、点滴や注射、カテーテル管理、褥瘡(床ずれ)の処置、人工呼吸器や在宅酸素療法の管理など、自宅でも必要な医療処置を実施します。
医療機器の管理
人工呼吸器や吸引器、経管栄養、在宅酸素などの医療機器が安全に使用できるよう管理・点検を行い、利用者や家族へ取り扱い方法の指導も行います。
リハビリテーション
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍している事業所では、身体機能や日常生活動作(ADL)の維持・改善を目的としたリハビリテーションを提供します。転倒予防や筋力維持、自宅での生活動作の訓練なども重要な役割です。
ターミナルケア・緩和ケア
人生の最終段階を住み慣れた自宅で過ごしたいという希望に応えるため、終末期の身体的・精神的なケアを行います。24時間対応体制を整えている事業所では、急変時にも迅速な対応が可能です。
ご家族への介護支援・相談
訪問看護は利用者本人だけでなく、ご家族への支援も重要な業務です。介護方法のアドバイスや医療機器の使用方法、服薬管理、介護負担に関する相談などを行い、在宅療養を支えます。
在宅医療のニーズ拡大で高まる訪問看護の重要性
日本では高齢化が進み、医療と介護の両方を必要とする高齢者が増加しています。一方で、医療費の適正化や病床数の見直しにより、入院期間は短縮される傾向にあります。
そのため、退院後も安心して自宅で療養できる環境づくりが求められており、訪問看護ステーションはその中心的な存在となっています。
また、訪問看護の対象は高齢者だけではありません。小児、精神疾患のある方、難病患者、がん患者、障害のある方など幅広い世代が利用しており、地域医療を支える重要なインフラとして、その役割は今後ますます大きくなると考えられています。
訪問看護ステーションを開設できる5つの法人形態
訪問看護ステーションは、個人または法人が開設できます。ただし、介護保険サービスとして事業を行うためには、都道府県などから指定を受ける必要があり、人員・設備・運営基準を満たさなければなりません。
開設主体として多いのは、次のような法人です。
株式会社・合同会社・医療法人などの特徴
株式会社
最も一般的な法人形態で、訪問看護ステーションの新規開業でも多く選ばれています。
出資者が会社を設立し、営利目的で事業を運営できます。介護・福祉以外の事業も幅広く展開できるため、複数の介護サービスや医療関連事業を行いたい場合にも適しています。
合同会社(LLC)
比較的新しい法人形態で、株式会社より設立費用を抑えられることが特徴です。
出資者自身が経営を行う仕組みで、小規模な事業からスタートしたい場合に選ばれることがあります。ただし、資金調達や知名度の面では株式会社が有利とされるケースもあります。
医療法人
医療機関を運営するために設立される法人です。
病院や診療所を運営している医療法人が、新たに訪問看護ステーションを開設するケースも多く見られます。設立には都道府県知事の認可が必要で、一般的な株式会社よりも設立要件や運営ルールが厳しく定められています。
社会福祉法人
高齢者福祉や障害福祉など、社会福祉事業を目的として設立される法人です。
特別養護老人ホームや介護施設などを運営する法人が、地域包括ケアの一環として訪問看護ステーションを開設することがあります。設立には所轄庁の認可が必要で、一定の資産や事業計画などの要件を満たさなければなりません。
NPO法人
地域福祉や保健・医療の推進など、公益性の高い活動を目的として設立される法人です。
所轄庁への認証を受けることで設立でき、地域密着型の訪問看護事業を運営している団体もあります。ただし、利益を社員へ分配することはできず、収益は事業活動に充てる必要があります。
どの法人形態を選ぶべき?
新たに訪問看護ステーションを開業する場合は、設立のしやすさや事業の自由度から株式会社を選択するケースが最も多く見られます。
一方で、既に病院や診療所を運営している場合は医療法人、介護施設を運営している場合は社会福祉法人、地域貢献を重視する場合はNPO法人など、それぞれの目的や事業内容に応じて適した法人形態を選ぶことが重要です。
これから新たに法人を設立する場合は、法人設立手続きと並行して、訪問看護ステーションの指定申請に向けた準備を進めるとスムーズです。
訪問看護ステーション開業に必要な「人員基準」
訪問看護ステーションを開設するためには、厚生労働省が定める「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」に基づき、人員基準を満たす必要があります。指定を受けた後も、継続して基準を維持しなければなりません。
特に重要なのが、管理者と看護職員の配置です。
管理者(常勤1名・保健師または看護師)
訪問看護ステーションには、常勤の管理者を1名配置する必要があります。
管理者は原則として保健師または看護師であり、事業所全体の運営を統括します。主な業務は次のとおりです。
- スタッフの労務管理
- 訪問スケジュールの調整
- 利用者へのサービス品質の管理
- 主治医やケアマネジャーなど関係機関との連携
- 事業所の運営管理
一定の条件を満たす場合には、管理業務に支障がない範囲で訪問看護業務を兼務することも認められています。
看護職員(常勤換算2.5人以上)
看護職員として配置できるのは、
- 保健師
- 看護師
- 准看護師
です。
指定基準では、常勤換算で2.5人以上の看護職員を配置する必要があります。この人数には管理者を含めることができます。
「常勤換算」とは、常勤職員だけでなく、非常勤職員の勤務時間を合計し、常勤職員何人分に相当するかを計算する方法です。そのため、パートタイム職員を活用する場合でも、勤務時間の合計が基準を満たしていれば要件を満たします。
リハビリテーション職員(PT・OT・STの配置)
訪問看護ステーションでは、必要に応じて次の専門職を配置できます。
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
これらの職種は配置義務ではありませんが、在宅リハビリテーションを提供する場合には重要な役割を担います。利用者の身体機能や日常生活動作(ADL)の維持・改善、転倒予防、自立支援などを目的としてサービスを提供します。
24時間対応体制を整える場合
夜間や休日の緊急訪問に対応するため、多くの訪問看護ステーションでは24時間対応体制を整えています。
そのためには、基準を満たす人数だけではなく、オンコール体制を無理なく運用できる十分な看護師数を確保することが重要です。開業後は、人材の採用・定着が事業運営の安定性を左右する重要なポイントになります。
指定申請前に自治体へ確認を
人員基準そのものは全国共通ですが、指定申請の受付時期や提出書類、事前相談の方法などは都道府県や指定都市によって異なります。
開業予定地の自治体へ早めに相談し、最新の申請要件やスケジュールを確認しておくことで、申請手続きを円滑に進めることができます。
参考資料
訪問看護ステーション開業に必要な「設備基準」
訪問看護ステーションを開設するためには、設備基準を満たす事業所を用意する必要があります。
厚生労働省が定める「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」では、
- 事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室
- 指定訪問看護の提供に必要な設備・備品
を備えることが義務付けられています。
法令上求められる専用事務室の要件
- 専用の事務室(他事業と兼用する場合は専用区画でも可)
- 訪問看護の提供に必要な設備・備品
実務上、準備が必要となる設備・備品一覧
法令では設備・備品の種類までは細かく規定されていませんが、多くの自治体の指定申請手引きでは、次のような設備を整備することが求められています。
- 相談スペース(利用者や家族との面談用)
- 鍵付き書類保管庫(個人情報・診療記録の保管)
- 電話・FAX
- インターネット環境
- パソコン・プリンター
- 医療材料・衛生材料の保管場所
- 手指消毒剤、手袋などの感染対策用品
- 訪問記録を管理するシステム(電子カルテ等を含む)
個人情報保護・感染対策の運用ルール整備
訪問看護では、診療情報や利用者の個人情報を日常的に取り扱います。そのため、個人情報保護法に基づき、書類や電子データを適切に管理できる体制を整える必要があります。
また、自治体による指定申請や実地指導では、設備だけでなく、個人情報の管理方法や感染対策、記録の保存体制なども確認されるため、開業前から運用ルールを整備しておくことが重要です。
参考資料
訪問看護ステーション開業・指定申請までの5ステップ
訪問看護ステーションを開業し、指定を受けるまでには、一般的に4〜6か月程度の準備期間が必要です。各フェーズでやるべきことを把握し、スケジュールを逆算して動くことが成功のカギとなります。
ここでは、開業に向けた具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。
①事業計画を作成する(目安:1~2か月)
まずは事業計画を作成します。地域のニーズや競合状況を調査し、開業後に安定した経営ができる計画を立てることが重要です。
- 開業エリア
高齢者人口や在宅医療の需要、競合となる訪問看護ステーションの数などを調査し、サービスを提供する地域を決定します。 - 利用者数の見込み
開業後にどのくらいの利用者を獲得できるかを予測します。地域の人口や医療機関・居宅介護支援事業所との連携も重要なポイントです。 - 売上・収支予測
訪問件数や介護報酬・診療報酬をもとに売上を試算し、人件費や家賃などの支出を含めた収支計画を作成します。 - 資金計画
自己資金や融資額、開業後の運転資金を整理し、資金不足にならないよう計画を立てます。
②資金を準備する(目安:1~2か月)
開業には初期費用だけでなく、事業が軌道に乗るまでの運転資金も必要になります。
- 事務所取得費
事務所の賃貸契約に必要な敷金・礼金・仲介手数料などの費用です。 - 内装工事費
相談スペースや事務室の整備、設備工事など、事業所として利用するための工事費用です。 - 車両購入費・リース費
利用者宅を訪問するための自動車やバイク、自転車などの準備費用です。 - パソコン・タブレット
電子カルテや訪問記録の入力、請求業務などに使用するICT機器を準備します。 - 医療備品・医療材料
血圧計、パルスオキシメーター、体温計、感染対策用品、医療材料など、訪問看護に必要な備品を揃えます。 - 人件費
開業直後は利用者数が少ないことも多いため、数か月分の給与を支払える資金を確保しておくことが重要です。
③スタッフを採用する(目安:2~3か月)
指定基準を満たすだけでなく、開業後も安定してサービスを提供できる人員体制を整えます。
- 看護師の採用
常勤・非常勤を組み合わせながら、人員基準を満たす看護師を確保します。 - リハビリ職の採用
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を配置することで、訪問リハビリテーションにも対応できます。 - 勤務体制の整備
オンコール対応や休日体制など、無理のない勤務シフトを作成し、継続して働きやすい職場環境を整えます。
④業務体制を整える(目安:1~2か月)
指定申請や開業後の運営に必要なルールや書類を整備します。
- 運営規程
営業日や営業時間、提供するサービス内容、利用料金などを定めた事業所の基本ルールです。 - 各種マニュアル
訪問看護業務や事故対応、感染対策など、職員が共通の手順で業務を行うためのマニュアルを作成します。 - 緊急時対応
利用者の急変や災害時などに備え、連絡体制や対応手順をあらかじめ決めておきます。 - 感染対策
標準予防策や感染症発生時の対応方法を整備し、安全にサービスを提供できる体制を構築します。 - 個人情報管理
利用者情報を適切に管理するため、書類や電子データの保管方法、アクセス権限などを定めます。
⑤指定申請・審査(目安:1~2か月)
開業前には、都道府県などへ指定申請を行い、審査を受ける必要があります。
- 事前相談
自治体へ相談し、申請スケジュールや必要書類、設備・人員基準などを確認します。 - 必要書類の作成
指定申請書、運営規程、人員配置表、勤務表、平面図など、指定に必要な書類を作成します。 - 指定申請
定められた期限までに書類を提出し、自治体による審査を受けます。 - 審査・現地確認
書類審査のほか、事業所の設備や人員体制について現地確認が行われる場合があります。 - 指定通知・開業
指定を受けると、指定日以降に訪問看護ステーションとして正式にサービスを開始できます。
まとめ
訪問看護ステーションの開業には、人員配置や設備の整備、運営規程の作成など、指定基準を満たしたうえで自治体へ指定申請を行う必要があります。開業までには一般的に4~6か月程度かかるため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが大切です。
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