看護師について~仕事内容・主な活躍の場~

看護の仕事
掲載日: 2025.05.15
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医師の指示に基づいて診療の補助を行うほか、病気やけがをした人や妊産婦などに対して、療養上の世話を行う看護師という職業。 
今回は知っているようで知らない?、看護師の仕事内容や活躍の場などご紹介いたします。
看護師という職に興味がある方、病院以外での勤務を検討中の方、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

1.看護師とは

看護師とは、医師の指示に基づいて診療の補助を行うほか、病気やけがをした人や妊産婦などに対して、療養上の世話を行う職業です。対象となる人の身体的な状態だけでなく、精神的・社会的な背景なども踏まえながら、その人に応じた対応を行うことが求められます。看護師は国家資格であり、医療の現場において専門的な知識と技術を用いて業務にあたります。

現在、全国で看護師として働く人は約139万人(2020年国勢調査)とされており、病院や診療所、介護施設、訪問看護ステーション、学校、企業など幅広い場で活動しています。医療やケアの現場が施設から在宅へと広がる中で、看護師の活躍の場も年々多様化しています。

保健師助産師看護師法第五条では、看護師は次のように定義されています。

厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。

この法律に基づき、看護師は医療機関だけでなく、介護施設、訪問看護ステーション、学校や企業など、多様な現場で人々の生命と生活を支えています。また、少子高齢化や医療の変化に伴って、施設から在宅へのケアの移行が進み、看護師の勤務先も広がっています。

また、看護師という名称には、時代とともに変化がありました。かつては、女性の看護職を「看護婦」、男性を「看護士」と呼び分けていましたが、2001年の法改正により「保健婦助産婦看護婦法」が「保健師助産師看護師法」に改められたことをきっかけに、性別による呼び名の区別が廃止されました。翌年の2002年からは、男女を問わずすべての有資格者が「看護師」と呼ばれるようになっています。

看護師は「人を看る」という独自の視点をもとに、身体だけでなく、心の状態や生活環境、社会的な背景、文化的な価値観まで幅広く捉えながら関わります。患者さま本人だけでなく、そのご家族さまやまわりの人々との関係性の中で、日々変化する状況を見きわめながら仕事を進めていきます。状況を的確に捉える観察力や、状況に応じた判断、また相手との信頼関係を築くための関わり方が求められます。

 

2.看護師の仕事内容

看護師の仕事は、法律で定められているように「療養上の世話」と「診療の補助」の2つに大きく分けられます。

療養上の世話

療養上の世話とは、病気やけが、妊娠・出産、加齢などによって日常生活に支障をきたしている人が、安全で快適に療養生活を送れるよう手助けする行為です。これは看護師自身の判断に基づき実施され、たとえば以下のような支援が含まれます。

  • 排泄の介助(トイレ誘導、おむつ交換、導尿、ストーマケアなど)

  • 食事の介助や嚥下訓練、口腔ケア

  • 入浴や清拭、洗髪、爪切りなど衛生面のケア

  • 体位変換(褥瘡を防ぐための姿勢の調整)や移乗・移動のサポート

  • 歩行の介助や座位訓練

  • 健康や生活に関する相談への対応

こうした支援と並行して、患者さま本人やそのご家族さまとの関係づくりも大切な仕事の一部です。療養中の不安や戸惑いに寄り添いながら関わっていきます。

診療の補助

診療の補助は、医師の指示に基づいて行われる医療的な行為を指します。処置の準備や介助、問診、薬剤の投与、採血などがあり、医師の診断・治療が円滑に進むよう連携して対応します。

具体的には以下のような内容が含まれます。

  • 問診(病歴や症状、生活への影響などを聞き取る)

  • バイタルサインの測定(体温、脈拍、血圧、呼吸など)

  • 採血、注射、点滴、薬の投与(医師の指示に基づく)

  • 検査や処置の準備、説明、介助

  • 傷や手術後の処置、応急対応

  • 看護記録の作成と情報共有(申し送り、カンファレンスなど)

  • 入院患者の見回り(ラウンド)やナースコールへの対応

どのような医療現場でも、患者さまの体調や症状の変化を見逃さないよう、看護師は日々観察を重ねています。
状況の変化を見逃さず、医師の判断に必要な情報を正確に伝えることも看護師の役割の一つです。

  

3.看護師になるには?必要な資格と取得ルート

看護師は国家資格

看護師として働くには、看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣から免許を受けなければなりません。国家資格であるため、所定の教育機関で定められた課程を修了したうえで、受験資格を得ることが条件となっています。

看護師には、医療の知識や技術に加えて、患者さまの状況を理解し、根拠に基づいて計画的に看護を実践する力が求められます。近年では、チーム医療の中で他の職種と連携・協働することも多く、柔軟に対応する力やコミュニケーション能力も大切です。

国家試験は毎年2月に実施され、合格発表は3月下旬に行われます。合格すると、生涯有効な看護師免許が交付されます(更新制度はありません)。

国家試験の受験資格を得る3つのルート

看護師国家試験を受けるには、いずれかの教育課程を修了していることが必要があります。主なルートは以下の3つです。

ルート1:高校卒業後に看護系の学校へ進学

  • 看護大学(4年制)

  • 看護短期大学(3年制)

  • 看護専門学校(3〜4年制)

看護専門学校の中には、夜間課程を設けているところもあり、働きながら学ぶことも可能です。

ルート2:中学卒業後に5年一貫校に進学

  • 看護高等学校などで5年間一貫して学ぶ

中学校卒業後すぐに看護の道を選ぶことができる進路です。

ルート3:准看護師からステップアップ

准看護師として一定期間働いた後、看護師を目指すルートです。

  • 実務経験3年以上 → 看護専門学校や短大で2年間学ぶ

  • 実務経験7年以上 → 通信課程(2年)を修了して受験資格を得る

一度准看護師として働きながら、後に看護師への資格取得を目指す人も少なくありません。働きながら学べるルートが整備されているため、再進学や社会人からの挑戦にも対応しています。

 

4.看護師の主な就職先

看護師の就職先は病院をはじめとした医療機関です。厚生労働省が公表した「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、看護師の約7割が病院に勤務しており、次いで診療所、訪問看護ステーション、介護保険施設等が続いています。こうしたデータからも、看護師の勤務先は医療機関が中心である一方で、地域や在宅分野にも徐々に広がりを見せていることがわかります。勤務先ごとに役割や仕事内容は異なります。

以下に、主な勤務先とその業務の特徴を紹介します。

病院

病院は診療科目が複数あり、入院設備を備えた中規模以上の医療機関です。看護師の就職先として最も一般的で、配属先や診療科によって業務内容が異なります。
たとえば、外来では診療補助や患者対応、病棟では入院患者の看護と生活支援、手術室では器械出しやモニター管理などを行います。日勤勤務が中心となる透析室、内視鏡室、健診センターなどの部署もあります。
また、内科・整形外科・小児科・精神科など、診療科ごとに専門性の高い看護が求められ、患者さまの年齢や症状に応じた対応が必要です。

診療所(クリニック)

診療所は、病床数が19床以下の小規模な医療機関で、外来診療を中心に行っています。看護師の業務は問診や検査の説明、バイタルサインの測定、採血や点滴などが含まれます。
また、診療器具の洗浄・消毒、物品の管理、院内の清掃といった業務にも携わることが多く、少人数体制の中で幅広い業務をこなします。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションでは、看護師が利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて医療処置やケアを行います。
主な業務には、バイタルチェック、服薬管理、点滴、褥瘡(床ずれ)ケア、カテーテルの管理、インスリン注射、人工呼吸器の管理などがあります。また、歩行訓練や嚥下訓練、ターミナルケア(終末期のケア)も行われることがあります。
ご家族さまへの助言や介護者への支援も看護師の役割の一つです。患者さま本人だけでなく、その周囲の人々にも配慮しながらケアにあたります。

介護施設

介護施設で働く看護師は、利用者の健康状態の管理や、必要に応じた医療処置を担当します。施設の種類はさまざまで、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、有料老人ホーム、小規模多機能型居宅介護などがあります。
主な業務はバイタルサインの測定、服薬管理、簡単な処置、感染症予防などで、施設によっては夜勤やオンコール対応が求められる場合もあります。
介護職員との連携や、医師が不在時の緊急時対応の判断なども業務に含まれます。

保育園で働く看護師

保育園では、園児の健康や安全を支える人材として、看護師の配置が推進されています(法的義務ではありません)。体調不良時の対応やけがの手当、持病やアレルギーへの配慮のほか、感染症対策や衛生指導、保護者への保健だよりの作成なども担います。
看護師資格または准看護師資格があれば勤務可能で、保育士資格は不要です。

学校・企業で働く看護師

学校では、特別支援学校で医療的ケアを必要とする児童に対応したり、大学などの保健室で学生・教職員の健康管理を行う看護師がいます。看護学校や看護系大学で、教員として看護の知識や技術を教える立場で働く人もいます。
企業では、健康管理室で従業員の健康相談や応急対応にあたるほか、医療系企業で治験や健康相談に関わる業務に従事するケースもあります。

 

5.看護師の働き方と勤務スタイル

看護師の働き方は、勤務先の種類や役割によってさまざまです。病院や介護施設など、24時間体制でケアが必要な現場では交替制のシフト勤務が一般的ですが、診療所や保育園などでは日勤のみの勤務もあります。

シフト制勤務(2交代・3交代)

病棟勤務などでは、患者さまの療養生活を支えるために夜勤を含むシフト制勤務が行われています。主に「2交代制」と「3交代制」があり、それぞれ以下のような特徴があります。

  • 2交代制:「日勤」と「夜勤」に分ける勤務体制。夜勤は1回あたりの拘束時間が長い一方で、夜勤の回数は比較的少なめです

  • 3交代制:「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つに分かれます。1回の勤務時間は短めですが、勤務の間隔が詰まりやすく、生活リズムが不規則になりやすい面もあります。

夜勤

看護師の夜勤について、法的な勤務時間の上限は設けられていませんが、「看護師1人あたりの月平均夜勤時間を72時間以内にする」という、いわゆる「72時間ルール」が診療報酬上の基準として設けられています。
このルールは施設全体の平均時間を制限するものであり、個々の勤務時間を直接制限するものではありません。日本看護協会では以下のようなガイドラインを提示しています。

  • 月8回以内の夜勤(3交代制の場合)

  • 勤務間隔は11時間以上空けること

また、夜勤のみを担当する「夜勤専従看護師」という働き方もあり、夜勤手当の増加や日中の時間を確保しやすいことから、選択肢の一つとされています。
公益社団法人日本看護協会:看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン
https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/yakin_guideline.pdf

 

日勤のみの勤務先

家庭や育児、介護などの事情から日勤のみを希望する看護師も多くいます。病院勤務では日勤のみの求人は限られていますが、以下のような勤務先では原則として夜勤がなく、週1~2日など決まった曜日に休業日が設けられている場合が多く、比較的規則的な勤務体系になっています。

  • 診療所(クリニック)

  • 健診センター

  • 訪問看護ステーション

  • 介護施設(デイサービスなど)

  • 保育園

雇用形態の種類

看護師の雇用形態は、常勤(正社員)のほか、非常勤(パート・アルバイト)や派遣などもあります。
医療機関(病院や診療所など)での派遣勤務は原則として禁止されていますが、以下のようなケースでは派遣が認められています。

  • 産休・育休・介護休業などの代替要員としての派遣

  • 紹介予定派遣(派遣先で直接雇用される前提で一定期間勤務)

  • 医療機関以外(社会福祉施設など)での派遣

給与・年収について

看護師の給与は、夜勤手当などが加算されることが多く、全体として高めの傾向にあります。
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師(男女計)の年間給与総額は約508.2万円です。これは基本給にあたる所定内給与と、年間賞与などを含む金額です。
同調査による全職種の平均年収は約453.4万円であり、看護師の給与はそれを上回っています。
このように、背景には夜勤やシフト勤務、不規則な生活リズムによる身体的・精神的な負担があることも事実です。

厚生労働省:令和5年賃金構造基本統計調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html

 

6.看護師のキャリアアップや転職

医療現場での経験を積む中で、「もっと専門的な知識を深めたい」「違う働き方を検討したい」と感じる場面は少なくありません。看護師としてのキャリアアップは、実践力の向上や勤務の選択肢を広げるだけでなく、責任ある仕事を任される機会や、資格手当・昇進による収入の安定にもつながります。
ここでは、代表的なキャリアアップの方法を紹介します。

専門性を高める資格の取得

医療の高度化に伴い、専門的な看護スキルが求められる場面が増えています。実務経験を活かして、特定の分野でスキルを磨きたい人には、以下のような制度があります。
● 認定看護師
認定看護師は、特定分野における実践や指導に重点を置き、現場での看護の質の向上に取り組む役割を担います。たとえば、緩和ケア、皮膚・排泄ケア、感染管理などの分野があります。資格取得後も継続的な研鑽が求められ、5年ごとに更新審査を受ける必要があります。

【取得要件】

  • 看護師として5年以上の実務経験(うち3年以上は認定分野)
    認定看護師教育(600時間以上)を修了

  • 認定審査に合格

【役割】

  • 実践:対象者への専門的な看護

  • 指導:看護職への技術指導や教育

  • 相談:看護に関する助言や支援

公益社団法人 日本看護協会:認定看護師
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html

 

● 専門看護師
専門看護師は、より高度な知識と判断力をもとに、複雑な健康課題に対応する看護師です。分野の例には、がん看護、精神看護、地域看護などがあります。こちらも5年ごとに更新の手続きが必要です。

【取得要件】

  • 看護師として5年以上の実務経験(うち3年以上は専門分野)

  • 看護系大学院(修士課程)修了および所定単位の取得

  • 専門看護師認定審査に合格

【6つの役割】

  • 実践/相談/調整/倫理調整/教育/研究

公益社団法人 日本看護協会:専門看護師
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cns/index.html

 

● 特定行為研修(厚生労働省所管)
特定行為研修は、看護師が医師の包括的指示のもとで、手順書に基づき診療補助を行う制度です。21区分・38行為が対象で、創傷管理や気管カニューレ交換、脱水時の輸液投与などが含まれます。
資格ではなく、修了により実施権限が付与されます。共通科目と区分別科目からなる体系的な研修で、医療の質と安全性を確保しながら、看護師の業務の幅を広げることができます。キャリアアップを目指す中堅看護師に適した選択肢の一つです。

厚生労働省:特定行為に係る看護師の研修制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html

 

保健師・助産師の資格取得

保健師と助産師はいずれも国家資格で、いずれも看護師免許の取得が前提となります。大学の統合カリキュラムで看護師と同時に学ぶ方法と、看護師資格取得後に養成機関に進学する方法があります。なお、日本では保健師助産師看護師法により、助産師は女性に限定されています。

【資格取得ルート】

  • 統合カリキュラム(大学4年制):看護師+保健師または助産師を同時に学ぶ
    ※この場合は、看護師国家試験の合格が他資格の取得条件となるため、看護師国家試験が不合格の場合は保健師・助産師の資格も得られません。

  • 看護師資格取得後:保健師・助産師養成所(1年)または専攻科・大学院(2年)

【業務内容】

  • 保健師:地域住民への保健指導、健診、健康教育、災害支援など

  • 助産師:妊婦・産婦のケア、分娩介助、出産後の保健支援など

管理職としてのステップアップ

一定の経験を積んだ看護師は、組織内で管理業務を担う役職に就くこともあります。
看護主任、看護師長、看護部長などのポジションでは、病棟全体の管理や後輩看護師の教育、シフト調整といった業務が加わります。
責任が増す一方で、役職手当が支給されることもあり、収入面の向上が見込まれます。

 

ケアマネージャーへの転向

ケアマネージャーは、介護保険制度に基づいて、要介護者やそのご家族さまの相談を受け、介護サービスの計画(ケアプラン)を作成する仕事です。医療系資格を活かし、福祉分野で働きたい人にも適しています。

【受験資格】

  • 看護師・准看護師などの国家資格保有者

  • 対人援助業務の実務経験5年以上

勤務先には、居宅介護支援事業所や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設のほか、福祉用具を取り扱う民間企業などがあります。

 

7.転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用  

医療・介護分野での転職には、専門の求人情報プラットフォームであるJobSoel(ジョブソエル)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。

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8.まとめ  

看護師は病院・クリニックだけでなく様々な場所で必要とされており、自分に合った環境で活躍ができる職種です。
看護師という職種について理解を深めることで転職活動はもちろん就業後にも自分の役に立ちます。
この記事をきっかけに少しでも看護師という仕事に興味が湧いた、今後の活躍の場の参考になった、など参考になっていましたら幸いです。 

 

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