訪問看護は「自宅兼事務所」で開業できる?知っておくべき設備基準と物件選びの注意点

経営・採用 看護師
掲載日: 2026.08.07
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はじめに:

訪問看護ステーションの開業を検討する際、「自宅を事務所として使えるのだろうか」「賃貸物件でも開業できるのか」と悩む方は少なくありません。

開業当初はできるだけ初期費用を抑えたいと考え、自宅兼事務所を検討するケースも多いでしょう。

結論からいうと、自宅兼事務所でも開業できる可能性はあります。ただし、厚生労働省が定める設備基準を満たし、自治体から指定を受けられることが前提です。

この記事では、訪問看護ステーションを開業できる物件の条件や、自宅兼事務所を利用する場合の注意点について解説します。

 

 

自宅兼事務所でも開業できる?

訪問看護ステーションは、自宅を事務所として利用すること自体は禁止されていません。

厚生労働省の設備基準では、「事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室」と「指定訪問看護の提供に必要な設備及び備品」を備えることが求められています。

 

つまり、「住宅」であることが問題なのではなく、事業所として必要な機能や独立性を確保できるかが重要になります。

そのため、自宅兼事務所でも設備基準を満たし、自治体の審査を受けて指定されれば開業することは可能です。

 

開業できる物件の主な条件

① 専用の事務スペースがあること

訪問看護ステーションには、事業運営を行うための専用事務室が必要です。

居住スペースと明確に区分され、職員が事務作業や電話対応、書類管理を行える環境が求められます。

リビングや寝室をそのまま事務所として兼用することは、自治体によって認められない場合があります。

 

② 利用者情報を適切に管理できること

訪問看護では診療情報や個人情報を扱います。

そのため、

  • 鍵付き書庫
  • パソコンのセキュリティ対策
  • 書類の管理体制

など、個人情報保護法に基づいた情報管理体制を整備する必要があります。

 

③ 必要な設備・備品を備えていること

法令では設備の詳細までは規定されていませんが、一般的には次の設備が必要になります。

  • 電話
  • インターネット環境
  • パソコン
  • コピー・プリンター
  • 医療材料保管場所
  • 感染対策用品

これらを備え、業務を円滑に行える環境を整えます。

 

④ スタッフが勤務できる環境であること

看護師など複数の職員が勤務するため、

  • デスク
  • ロッカー
  • 休憩スペース

などを確保できる物件が望まれます。

将来的に職員が増えることも見据え、十分な広さがある物件を選ぶことが重要です。

 

事務所の広さはどれくらい必要?

訪問看護ステーションの設備基準では、「事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室」を設けることが定められていますが、最低○㎡以上といった全国共通の面積基準はありません。

 

そのため、実際に必要な広さは、配置する職員数や事業所の運営方法によって異なります。

例えば、管理者を含めて3~4名程度で開業する場合は、デスクや書類保管庫、医療材料の保管スペースを確保できる15~25㎡(約9~15畳程度)を目安とするケースが多く見られます。

将来的に職員を増員する予定がある場合や、会議・面談スペースを設けたい場合には、さらに余裕を持った広さを確保すると、レイアウト変更や事業拡大にも対応しやすくなります。

 

また、開業時には設備だけでなく、人員配置基準も満たす必要があります。管理者や看護職員の配置基準、指定申請の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

参考資料

 

自宅兼事務所で開業するメリット

メリット①.初期費用を抑えられる

自宅兼事務所で開業する最大のメリットは、事務所を新たに借りる費用を大幅に抑えられることです。

東京都23区で、訪問看護ステーションの開業を想定した15~25㎡(約9~15畳程度)の事務所利用可能な物件を借りる場合、一般的な初期費用の目安は次のとおりです。

 

開業時にかかる初期費用の目安。おおよそ100万~300万円程度が必要になります

 

合計すると、おおよそ100万~300万円程度が物件取得・開設にかかる初期費用の目安となります。

 

これに加えて、パソコンやプリンター、医療材料、感染対策用品、車両などの設備費も必要になるため、開業資金全体ではさらに多くの資金を準備する必要があります。

一方、自宅を事務所として利用できる場合は、これらの物件取得費や内装工事費を大幅に削減できる可能性があります。そのため、開業直後の固定費を抑えられ、利用者数が安定するまでの資金負担を軽減できることが大きなメリットです。

 

メリット②.管理者の負担を軽減しやすい

自宅兼事務所で開業する場合、管理者自身の通勤時間が不要になるため、その分を事業運営や利用者対応に充てることができます。

訪問看護ステーションの管理者は、利用者宅への訪問だけでなく、スタッフの勤務管理や訪問スケジュールの調整、関係機関との連絡、請求業務、採用活動など、多くの業務を担います。開業当初は管理者が訪問看護師を兼務するケースも多く、移動時間を短縮できることは大きなメリットです。

 

また、朝一番の訪問や利用者の急変時、スタッフからの相談やオンコール対応などにも迅速に対応しやすく、事務作業と訪問業務を効率的に切り替えることができます。

一方で、自宅兼事務所では生活空間と業務空間の境界が曖昧になりやすいという側面もあります。長時間労働につながらないよう勤務時間を明確に区切ることや、家族のプライバシーに配慮したレイアウト・動線を整えることも、円滑な事業運営には欠かせません。

 

自宅兼事務所の注意点

① 生活スペースと事業スペースを明確に区分する

自宅兼事務所で開業する場合は、生活スペースと事業スペースを明確に分けることが重要です。

訪問看護ステーションでは、職員が出勤して事務作業を行うほか、医療材料の搬入や宅配業者の出入り、関係機関との打ち合わせなどが日常的に発生します。

 

そのため、家族が生活する空間と事務所をできるだけ分離し、利用者情報や医療材料を適切に管理できる環境を整えましょう。

また、書類やパソコンには利用者の個人情報が保存されるため、鍵付き保管庫の設置やパスワード管理など、情報漏えい対策も欠かせません。

 

② 利用者や関係機関が訪問することを想定する

訪問看護は利用者宅へ訪問するサービスですが、事業所にも関係者が来訪することがあります。

例えば、

  • ケアマネジャー
  • 主治医
  • 病院の地域連携室
  • 行政担当者(指定申請・実地指導)
  • 医療機器や医療材料の納品業者
  • 求職者(採用面接)

などが事業所を訪れるケースがあります。

 

そのため、自宅兼事務所であっても、来訪者を迎えられる相談スペースや打ち合わせスペースを確保し、事業所として適切な環境を整えておくことが望ましいでしょう。

 

③ 指定申請前に自治体へ相談する

自宅兼事務所で開業できるかどうかは、設備基準だけでなく、自治体の運用や審査方法によって確認されるポイントが異なります。

例えば、

  • 居住スペースとの区分方法
  • 事務室の広さ
  • 医療材料の保管場所
  • 駐車場や駐輪場の確保
  • 看板・表札の設置方法

などについて確認を求められることがあります。

物件を契約した後で「このレイアウトでは指定を受けられない」とならないよう、契約前や内装工事前に自治体へ相談しておくと安心です。

 

東京都では、訪問看護ステーションの新規指定申請に関する手引きや設備基準、事前相談窓口が公開されています。開業予定地の自治体でも同様の窓口が設けられていることが多いため、早い段階で相談することをおすすめします。

 

参考窓口

 

まとめ

自宅兼事務所でも、厚生労働省が定める設備基準を満たし、自治体の指定を受けることができれば、訪問看護ステーションを開業することは可能です。

自宅で開業する最大のメリットは、事務所の賃料や初期費用を抑えられ、開業時の資金負担を軽減できることです。一方で、生活空間と事業スペースを明確に区分することや、個人情報・医療材料の適切な管理、将来的な人員増加を見据えたスペースの確保など、事前に検討すべきポイントも少なくありません。

 

また、自宅兼事務所で開業を検討する場合は、設備基準を満たしているかを自治体へ事前に相談し、指定申請までを見据えて準備を進めることが大切です。

訪問看護ステーションは、開業後に安定したサービスを提供するためには、利用者の確保だけでなく、看護師やリハビリ職などの人材採用も重要な課題となります。

 

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訪問看護ステーションの開業には、自宅兼事務所の設備要件だけでなく、人員基準や設備基準、指定申請の手続きなども満たす必要があります。開業までの流れや必要な準備について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

 

参考資料

 

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