体格の大きな方への移乗介助:安全で負担を軽減するためのポイントと具体的なコツ

介護の知識
掲載日: 2025.04.10
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「体格のいい方や自分より大きい方を安全に移動させるにはどうすれば良いのだろう?」と悩んだことはありませんか?医療福祉の現場では、利用者をサポートする機会が多く、特に移乗介助は欠かせないスキルです。
しかし、体格が大きな方を移動する際、介護者にとって身体への負担が大きくなりがちですし、無理をすると利用者も介護者も怪我をするリスクが高まります。

そんな中で、安全で負担を減らすための工夫を知っておくことは、介助の質を高めるためにもとても大切です。この記事では、①移乗介助の基礎、②体格の大きな方への移乗介助の具体的なコツ、③安全でスムーズな移乗のための準備と注意点、④補助具の利用について分かりやすくご紹介します。ぜひ、参考にしていただき、負担を軽減しながら安全に移乗をサポートする技術を身につけましょう。

 

 

1.移乗介助の基礎

はじめに、移乗介助がどのような目的で行われるのか、その基本的な流れについて理解を深めましょう。

移乗介助とは
移乗介助とは、利用者をベッドから車椅子、トイレ、椅子など、場所を移動させるためのサポート技術です。移動を安全かつ快適に行うことは、利用者の生活の質を向上させ、日々の自立支援にも繋がります。

基本的な流れ
移乗を行う際には、まず周囲の環境を整え、スライディングシートやトランスファーボードなど必要な道具を準備します。そして、移乗の流れや動作について利用者に説明し、安心感を持ってもらいましょう。こうしたコミュニケーションが、信頼関係の構築と円滑な移乗に繋がります。

 

2.体格の大きい方への移乗介助のコツ

特に体格の大きい方を移乗する際、ただ力を使うだけでは身体への負担が大きく、危険も伴います。以下のポイントを押さえることで、より安全かつ効率的な介助が可能になります。

1. 利用者を支えるための基本姿勢

  • 浅く座ってもらい、両足が床につくように
    利用者には椅子やベッドに浅めに座ってもらい、両足を床にしっかりつけていただくことで、立ち上がりやすくなります。

  • 肩甲骨と骨盤を支える
    介護者は、利用者の脇の下から腕を回し、肩甲骨と骨盤を支えるように抱えます。このように大きな骨を支えることで、利用者は安定し、少ない力で安全な介助が可能になります。

2. 利用者に協力を求める

  • 前傾姿勢を促す
    利用者には体を少し前傾させてもらい、重心を前方に移してもらいます。これは、立ち上がる自然な動きに基づくもので、少ない力で立ち上がりや移動がしやすくなります。声かけで「少し前に体重をかけてみましょう」と誘導しましょう。

  • 声かけで安心を促す
    「少しゆっくり動きますね」「前に体重を移してください」など、具体的な声かけを行うと、利用者もリラックスして移乗に協力できます。

3. 体全体を活用して安定した介助を行う

  • 腰を曲げず、体全体の筋肉を活用する
    体格の大きい方を支える際、腕や背中だけに頼ると体への負担が増します。足を広げて腰を低く構え、体全体の筋肉を使うことで、安定したサポートが可能になります。

  • 重心を近づけて効率的に移動
    介護職員と利用者の重心をなるべく近づけ、密着するように支えると、余計な力を使わずスムーズな移動が可能です。ベッド上で利用者の体を移動する際は、腕や足を組んで体を小さくまとめもらいます。こうすることで、ベッドとの摩擦を減らし、力の分散を防ぐことができ、効率的に移動させることができます。

  • 水平移動を意識する

移乗や移動の際、持ち上げるのではなく「水平移動」を意識しましょう。持ち上げると重力の影響で介護者に負担がかかり、腰痛の原因となることもあります。水平に移動させることでことで介護者の体への負担が減り、より安全に移乗が行えます。

  

3.安全でスムーズな移乗のための準備と注意点

準備と安全確認を行うことで、移乗のスムーズさと安全性が向上します。事前の環境調整をしっかり行いましょう。

1. 移乗前の準備と環境設定

  • 距離を最小限に
    ベッドや車椅子を移動先にできるだけ近づけ、移動距離を短くすることで、負担が軽減されます。車椅子はベッドから約30度の角度に配置することで、移乗がしやすくなります。

  • 高さの調整
    ベッドの高さを車椅子より5cm程度高く設定すると、スムーズに移乗でき、負担が減ります。

2. 安全確認と利用者の体調チェック

  • 車椅子のブレーキ確認 
    車椅子のブレーキが確実にかかっていること、フットレストが安全な位置にあることを確認します。

  • 体調確認
    利用者の体調や不安がないかを事前に確認し、必要に応じて他の職員に協力を求めましょう。無理な移動は、利用者と介護者の双方にリスクを伴います。

3. 複数人での協力

体格差が大きい場合は、無理に一人で対応せず、複数人で介助を行うことも安全対策の一つです。役割分担を明確にし、声を掛け合いながら協力することで、安全性が高まります。

 

4.補助具の利用

移乗介助には、補助具や日頃のトレーニングも非常に効果的です。補助具を活用することで、より効率的で安全な介助が可能になります。

1. 移乗用具の活用

  • スライディングシート
    摩擦を減らして移動をスムーズにする補助具です。シートの滑りが良いため、利用者を移動させやすくなり、介護者の負担が軽減されます。

  • トランスファーボード
    座った状態でスライドして移動させる補助具です。持ち上げる力を最小限に抑え、滑らかな移乗を可能にします。

2. リフトの使用

体格が大きく、持ち上げることが難しい場合は、リフトの使用も検討しましょう。天井走行リフトや床走行リフトは、介護者の負担を大幅に軽減し、安全に移乗が行えます。リフトの操作は、事前に練習しておくことで、スムーズな移動が可能になります。

3. 定期的なトレーニングとストレッチ

介助には一定の筋力や柔軟性が必要です。日頃から腰や膝に負担をかけないためのストレッチや、筋力維持を意識した簡単なトレーニングを行うことで、自分の体を守りながら介助が可能になります。腰痛予防や持久力を高めるための運動を習慣化しましょう。

 

5.転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用 

医療・介護分野での転職には、専門の求人情報プラットフォームであるJobSoel(ジョブソエル)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。

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6.まとめ 

体格の大きな方の移乗介助は、通常よりも多くの工夫と準備が必要です。力ではなく、重心移動や体重移動、そして滑らかな動きを活用することで安全に負担を軽減できます。
さらに、利用者の協力を得るための声かけや複数人での介助も重要なポイントです。

補助具の使用や定期的なトレーニングを通じて、自分の身体を守りながら安全で効率的な介助を実現することが可能です。
利用者の尊厳を守り、安心して移乗できる環境を提供するために、ぜひこれらのポイントを日々の介助に役立ててください。

 

 

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