SOAPで介護記録がスッキリ!今日からできる実践ポイント

介護の知識
掲載日: 2025.10.22
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はじめに:

介護の仕事では、利用者さまの様子や行ったケアをきちんと記録することが欠かせません。しかし、「どのようにまとめれば分かりやすいのか」と迷う人も多いでしょう。

そこで役立つのが「SOAP(ソープ)記録法」です。4つの要素に分けて書く方法で、情報を整理しやすく、共有もしやすいという特徴があります。
この方法を意識すれば、利用者さまの状態がより伝わりやすくなり、チーム全体でのケアの質向上にもつながります。

本記事では、SOAP記録法の基本と、介護職が日々の業務で活用できるポイントを解説します。

 

1. SOAPとは?介護職にとっての重要性  

SOAP(ソープ)は、もともと医療現場で生まれた記録の考え方です。
S(主観的情報)、O(客観的情報)、A(評価)、P(計画)の4つに分けて書くことで、情報を整理しやすくし、他の人に伝えやすくするのが特徴です。

現在では医療だけでなく、介護の分野でも広く取り入れられています。
介護保険制度においても記録は義務付けられています。SOAPは「わかりやすく・適切に」記録を残す方法として有効です。

SOAP記録法を活用するメリットは次の通りです。

  • 情報共有の効率化:同じ型で書くことで、チーム内の情報伝達がスムーズになる
  • 利用者の安全確保:状態の変化を早くつかみ、適切な対応につなげられる
  • ケアの質向上:客観的な評価に基づいたケア計画を立てやすくなる
  • 法的根拠の確保:介護記録として法的な効力を持つ文書を整えられる
  • 多職種連携の促進:医師や看護師、リハビリ職などとも情報を共有しやすくなる

このように、SOAPはただの形式ではなく、介護職が安心・安全に働くうえで欠かせない仕組みといえます。

2. SOAPの各要素と書き方  

S(Subjective:主観的情報)

利用者さま本人やご家族さまから直接聞いた言葉、訴え、気持ちなどを記録します。客観的に測定できない情報ですが、利用者さまの状態を理解するうえでとても大切です。

記録すべき内容

  • 利用者さまの訴えや発言(「痛い」「眠れない」「気分が悪い」など)
  • ご家族さまからの情報(「昨夜よく眠れていなかった」「食欲がない様子だった」など)
  • 表情や態度から読み取れる感情

記録例
S:「腰が痛くて夜中に何度も目が覚めた」との訴えあり。「今朝は体がだるい」と発言。家族から「昨日の夜、寝返りの際にうめき声が聞こえた」との情報。

O(Objective:客観的情報)

介護職員が直接観察できる事実や、測定可能なデータを記録します。誰が読んでも同じ内容として理解できることが重要です。

記録すべき内容

  • バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、呼吸数など)
  • 身体の状態(皮膚の色、浮腫の有無、傷の状態など)
  • 行動や動作の様子(歩行、食事摂取量、排泄など)
  • 実施したケアの内容と結果

記録例
O:体温36.8℃、血圧128/84mmHg、脈拍72回/分。腰部に発赤なし。歩行時に腰を手で支える動作あり。朝食摂取量5割。起き上がりに時間を要し、しかめ面あり。

A(Assessment:評価)

SとOの情報を合わせて、利用者さまの状態をどう判断するかを記録します。専門的な分析とまではいかなくても、状態変化をきちんと整理することが求められます。

評価のポイント

  • 現在の状態の分析
  • 前回との比較や変化
  • 考えられる原因の推測
  • 今後予想される経過

記録例
A:腰痛により夜間の睡眠が妨げられ、疲労感が増していると評価。動作時の疼痛で日常生活に支障あり。バイタルサインは安定しているが、疼痛の継続により食欲低下も懸念される。

P(Plan:計画)

評価を踏まえて、今後の対応やケアの計画を具体的に記録します。短期的なものから長期的なものまで、実現可能な内容を意識します。

計画に含むべき内容

  • すぐに実施すべき対応
  • 継続的に行うケア内容
  • 他職種への連絡や相談事項
  • 経過観察のポイント

記録例
P:①看護師に腰痛の状況を報告し、医師への相談を依頼。②体位変換時にクッションを使用し、疼痛軽減を図る。③夜間巡回を増やし、睡眠状況を観察。④食事摂取量を継続して確認し、必要に応じて栄養士に相談

3. 実務で使うときのポイント  

①基本の原則をおさえる

SOAPで記録するときは、次の4つの原則を意識すると読みやすく、正確な記録になります。

②記録作成時の注意点

  • 事実と推測の区別:確認できた事実と、推測や印象は分けて書く
  • 専門用語の適切な使用:正しい意味で使い、分からない場合は平易な表現に置き換える
  • 個人情報の保護:必要以上の詳細は書かない
  • チーム内での統一:施設内のルールがある場合はそれに従う
  • 継続性の確保:前回の記録とのつながりを意識する

③よくある間違いと改善方法

  • 主観と客観の混同
    ❌ S:「顔色が悪い」と訴えあり
    ⭕ S:「気分が悪い」と訴えあり O:顔色不良、蒼白
  • 評価の不足
    ❌ A:腰痛あり
    ⭕ A:腰痛により日常生活動作に支障をきたしている状態
  • 計画の具体性不足
    ❌ P:様子を見る
    ⭕ P:2時間毎に疼痛の程度を確認し、変化があれば看護師に報告

4. キャリアにつながる記録スキル  

SOAP記録法を意識して書けるようになることは、日々のケアだけでなく、将来的なキャリア形成にも役立ちます。
介護職にとって「記録の質」は基本的なスキルとして評価されるポイントのひとつです。

  • 信頼される職員への第一歩
    整理された記録は、上司や同僚から「情報が分かりやすい」と信頼されるきっかけになります。
  • スキルアップにつながる
    主観・客観・評価・計画の流れを意識することで、自分の観察力や判断力を振り返り、成長につなげられます。
  • キャリアの選択肢が広がる
    将来的にリーダーや管理職を目指す際にも「記録力」は大切な能力として評価されます。また、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得の学習にも活かせる知識です。

SOAP記録法を早いうちから身につけておくことは、日常業務をスムーズにするだけでなく、将来のキャリアにおいても強みとなります。

 

5.転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用  

より良い職場で自分らしく働きたいと考えたとき、転職活動に役立つのが医療・介護分野に特化した求人情報プラットフォーム JobSoel(ジョブソエル) です。

JobSoelでは、全国の医療・福祉系の求人を検索できるだけでなく、施設の雰囲気や取り組みも確認できます。
「どんな働き方ができるか」「どんな職場なら成長できそうか」をイメージしながら、安心して転職活動を進められるのが特長です。

自分に合った職場を見つける一助として、ぜひ活用してみてください。登録は無料で、効率的に情報を集められる心強いツールとなるでしょう。

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6. まとめ  

SOAP記録法は、難しい理論ではなく「情報を整理するための型」です。主観的情報・客観的情報・評価・計画の4つに分けることで、記録はより分かりやすくなります。

最初は戸惑うかもしれませんが、日々の業務で少しずつ意識していけば自然と身についていきます。チームでの情報共有や利用者の状態把握にも役立つ方法なので、記録に迷ったときの基本として活用してみてください。

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