「有料老人ホームの種類と特徴を解説|介護付き・住宅型・健康型の違いとは?」

介護の知識
掲載日: 2025.08.28
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「有料老人ホーム」とひとことで言っても、実は「介護付き」「住宅型」「健康型」と大きく3つのタイプに分かれています。仕組みや入居できる人の条件、どんなサービスが受けられるのかは施設によって大きく異なります。
今回のコラムでは、3種類を比べながら、それぞれの特徴を整理していきます。

 

1.まずは一覧で見る|有料老人ホーム3タイプの違い  

有料老人ホームには、大きく分けて3つの種類があります。
名前だけでは違いがわかりにくいことも多いので、まずは基本的な仕組みや入居する人の状態、サービス内容やスタッフ体制を一覧で整理してみましょう。
気になるポイントを確認したあとは、それぞれの特徴をもう少し詳しく見ていきます。

2.それぞれの特徴を詳しく知ろう

①介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、介護保険制度上「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる仕組みで、都道府県の指定を受けた施設です。これは、施設内で食事や入浴などの日常生活上の介護や機能訓練、療養上の世話を包括的に提供できる制度です。

サービス提供方法には、施設の職員が直接介護を行う「一般型」と、外部の介護サービス事業者と連携してサービスを提供する「外部サービス利用型」があります。

【入居対象者とサービス内容】

主な入居対象者は「要介護1以上」の認定を受けた高齢者です。要支援の方は「介護予防特定施設入居者生活介護」として利用できます。生活支援だけでなく、排せつ介助や入浴介助などの介護サービスも日常的に提供できる体制が整っています。認知症や看取りに対応する施設も多くあります。

【スタッフ体制と働き方】

法律で介護職員や看護職員の人員配置基準が定められており、介護職員は24時間体制で常駐しています。看護職員の配置や医療機関との連携体制は施設によって異なりますが、緊急時の対応や家族への情報共有体制が整えられています。

【料金の目安】

介護付き有料老人ホームの費用は、地域や施設のグレード、サービス内容によって大きく異なります。

入居一時金(初期費用)は「0円~数千万円」と幅広く、近年は入居一時金が不要な施設も増えています。月額利用料は20〜30万円程度が目安です。なかには、月額50万円を超える高級施設もあります。

②住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、介護保険制度で「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていない民間施設です。そのため、施設が直接提供するのは食事の提供や掃除、洗濯、見守り、生活相談などの生活支援が中心となります。介護が必要な場合は、訪問介護やデイサービスなど外部の介護サービス事業者と個別契約して利用します。施設によっては、館内に訪問介護事業所や居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)を併設している場合もあります。

【入居対象者とサービス内容】

入居対象は、自立した高齢者から要支援・要介護の方まで幅広いですが、認知症や医療依存度の高い方の受け入れ可否は施設ごとに異なります。

施設スタッフの主な業務:食事の提供、掃除・洗濯などの生活支援、安否確認、見守り、レクリエーションの企画・実施、緊急時の初期対応など。

外部サービスの主な業務:入浴介助、排せつ介助、食事介助、訪問看護、訪問リハビリ、通所介護(デイサービス)など、介護保険で提供される身体介護や医療的ケア。これらは入居者が希望する事業者と自由に契約して利用できます。

介護サービスの利用調整やケアプラン作成は、主にケアマネジャー(居宅介護支援事業所の職員)が担当します。施設スタッフは生活支援や見守りを中心に、入居者の暮らしを支えます。

【スタッフ体制と働き方】

住宅型は外部サービスと一緒に支える仕組みなので、ケアマネジャーや訪問介護事業所との情報共有が欠かせません。夜間の見守りや緊急時対応、スタッフの配置体制は施設ごとに異なります。施設と外部サービスの役割分担を正しく理解し、どの業務を施設が担い、どの業務は外部サービスが担うのかを現場スタッフ自身が把握しておくことが重要です。

【料金の目安】

住宅型有料老人ホームは初期費用が0円のところもあれば、数百万円かかる場合もあります。月額費用の目安は10〜25万円程度ですが、外部の介護サービスを多く利用すると、その分の費用が加算されます。介護保険の自己負担割合や利用するサービス内容によってもトータルの負担額は変動します。

③健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは、自立して生活できる高齢者を対象とした民間施設です。介護保険制度上、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けておらず、介護保険を使った施設内介護サービスは原則利用できません。健康型は現在、全国でも施設数が少なく、全体の有料老人ホームの中ではごくわずかです。

【入居対象者とサービス内容】

対象は自立した高齢者です。比較的元気なうちに将来の安心を考えて入居する人が多く、入居者は、食事の提供や見守りなどの生活支援を受けつつ、自立した暮らしを送ります。

介護が必要になった場合は、原則退去し、介護型の施設や医療機関へ移ることになります。一部、短期間の外部サービス利用を認める施設もありますが、長期的な介護には対応していません。

【スタッフ体制と働き方】

施設では、日々の食事の提供や安否確認、見守り、レクリエーションの実施などが主なサービスです。介護サービスは原則含まれないため、スタッフも介護職員としての配置義務はなく、医療職の常駐も必須ではありません。施設によっては、生活支援員や看護師が日中在籍し、健康管理や緊急時対応の体制を整えている場合もあります。

【料金の目安】

健康型有料老人ホームは、入居一時金として数百万円程度かかるケースが多いですが、月額費用は比較的抑えめで10〜20万円程度が目安です。ただし、将来的に介護が必要になり住み替える際には、新たに初期費用や引越し費用が発生する場合があるため、長期的な負担を想定しておく必要があります。

3. 2025年 ここが変わる!有料老人ホーム制度  

有料老人ホームを取り巻く制度は、現場で働く人の負担を減らしたり、サービスの質や契約の透明性を高めたりするために少しずつ見直しが進められています。

①【介護付き】ICT活用で配置基準が一部緩和に

介護付き有料老人ホームでは、ICT機器や介護補助スタッフの活用など、一定の条件を満たした場合に人員配置基準を特例で柔軟化できる仕組みが導入されました。
例えば、見守りセンサーやナースコール連動システムを活用することで、夜勤時に2人体制だったものを「1人+ICT」で補うなど、シフト調整や業務効率化が進みやすくなります。

②【住宅型】「囲い込み」防止で契約の透明化

住宅型では、入居者が訪問介護や看護サービスを自由に選べる権利がありますが、実際には施設側が自社の訪問サービスだけを使わせる「囲い込み」が問題視されてきました。 こうした不透明な契約を防ぐために、契約時の説明責任がより厳格化され、自治体による監査や指導も強化されています。

また、契約内容やサービス提供体制の透明化が行政から求められており、入居者や家族が安心してサービスを選べる環境づくりが進められています。

③【健康型】少ないからこそ住み替え支援の連携が課題

健康型有料老人ホームは、自立した高齢者が安心して暮らす場として利用されていますが、全国でも施設数はごくわずかで、大きな制度改正は現時点では行われていません。ただし、要介護状態になった場合は住み替えが必要になるため、スムーズに移行できるよう地域の介護施設や医療機関と連携した支援体制を整える取り組みが各自治体で進められています。

④【全施設共通】処遇改善加算が一本化されて対象拡大

これまで複数に分かれていた介護職員の処遇改善加算が一本化され、加算率も引き上げられました。対象は介護職員だけでなく、看護職員や生活相談員など、直接ケアに関わるスタッフにも広がっています。
加算が一本化されたことで手続きが簡素化され、給与への反映がしやすくなったほか、職員の働きやすさや定着率の向上も期待されています。

4.転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用  

医療・介護分野での転職には、専門の求人情報プラットフォームであるJobSoel(ジョブソエル)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。

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https://jobsoel.com/sign-up
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5.まとめ  

ここまで有料老人ホームの3つのタイプを比べてきましたが、それぞれの仕組みや働き方の特徴は整理できたでしょうか。
名前は似ていても、制度やサービスの範囲、スタッフの関わり方に違いがあります。実際の働き方は施設ごとに様々ですが、種類ごとの特徴を知っておくことで他の施設との連携やご家族への説明などにも役立ちます。
制度はこれからも少しずつ変わっていきます。必要なときに比較のポイントを思い出しながら、現場での対応を考えるヒントにしてもらえたら嬉しいです。

 

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