介護職について~仕事内容・必要な資格とキャリアアップ~
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介護職とは、高齢者や障がい者など、日常生活で他者の支援を必要とする方々に対し、身体的および生活的なサポートを行う職業です。
介護保険制度のもとで提供されるサービスを担い、利用者さまの健康や安全、生活の質(QOL)の向上を目的としています。
今回は知っているようで知らない?、介護職の仕事内容や必要な資格についてなどご紹介いたします。
介護職に興味がある方はぜひ参考にしていただき、介護職に対する理解を深めましょう。
目次
1.介護職とは
①介護職の役割と重要性
介護職とは、高齢者や障がい者など、日常生活で他者の支援を必要とする方々に対し、身体的および生活的なサポートを行う職業です。
介護保険制度のもとで提供されるサービスを担い、利用者さまの健康や安全、生活の質(QOL)の向上を目的としています。
具体的には、食事や排せつ、入浴の介助などの「身体介護」や、掃除や調理、買い物といった「生活援助」を行います。
これらの業務は、要介護者が自立した生活を維持・継続できるよう支援するものであり、医療職と連携しながら包括的なケアを提供します。
また、日本は超高齢化社会を迎えており、介護職は今後ますます重要な役割を担う職種となります。
②2026年度の介護職員の需要
厚生労働省が発表した「第9期介護保険事業計画」によると、今後の介護職員の必要数は以下のように推計されています。
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2026年度: 約240万人(2022年度比 +約25万人 / 年間6.3万人増)
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2040年度: 約272万人(2022年度比 +約57万人 / 年間3.2万人増)
2022年度の介護職員数は約215万人とされており、今後数十万人規模での人材確保が求められています。特に、高齢者人口が増加する2040年に向けて、さらなる介護職員の確保が急務となっています。
このように介護業界は慢性的な人手不足が続いており、国や自治体も「介護職への参入促進」「労働環境の改善」「介護職の資質向上」に向けた取り組みを進めています。
(出典:厚生労働省 「第9期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(令和6年7月12日)」)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html
2.介護職の仕事内容
介護職の仕事は大きく分けて「生活援助」と「身体介護」の2つに分類されます。また、施設によってはレクリエーションの企画や介護記録の作成といった事務作業も含まれます。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
生活援助
「生活援助」は、利用者さまの身の回りの生活を支える業務です。具体的には以下のようなものがあります。
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掃除や洗濯:利用者さまが暮らすスペースを清潔に保ちます。
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調理や買い物:日々の食事準備や日用品の購入をサポートします。
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衣服の整理:洗濯物を収納し、季節に応じた衣服を整理します。
これらの業務は、直接身体に触れないため資格がなくても可能な場合があります。ただし、介護保険のサービス対象範囲内で行われるため、業務の範囲が限定されることに注意が必要です。
身体介護
「身体介護」は、利用者さまの身体に直接触れてサポートする業務です。主な内容として以下があります。
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移動介助:歩行や車椅子での移動の補助、車椅子からベッドへの移乗。
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入浴介助:浴槽への出入りや洗髪の補助。転倒防止や適切な温度管理。
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排せつ介助:トイレへの誘導やおむつ交換、排せつ物の状態観察も含まれます。
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口腔ケア:歯磨きの補助や義歯の手入れを行い、誤嚥性肺炎の予防に努めます。
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体位変換:褥瘡(床ずれ)の予防のために、ベッド上での体勢を変えるサポート。
これらの業務では、利用者さまの身体状態に注意を払いながら、尊厳を守る対応が求められます。
その他の業務
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介護記録の作成:利用者さまの状態やケア内容を記録し、職員間や家族間で情報を共有します。
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レクリエーションの企画・運営:脳や身体機能を維持するための活動を企画。安全性と楽しさを両立する工夫が求められます。
3.介護職に必要な資格
①無資格で働けるか?(2024年4月以降の変更点)
介護職は資格がなくても始められる職業で、「無資格・未経験OK」と記載されてる求人も多くあります。
無資格で働き始めることは可能ですが、従事できる業務は生活援助や一部の身体介護(施設内での指導下のみ)に限定されます。
2024年4月以降、介護無資格者には「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられていますが、入職後1年間の受講猶予期間があるため、未経験者でも現場で働きながらスキルを身につけることができます。
②認知症介護基礎研修とは?
認知症介護基礎研修は、認知症への理解を深め、基礎的なケア技術を学ぶための研修です。2024年4月以降、介護無資格者に対して受講が義務付けられました。この研修を修了しない場合、介護職として働き続けることができません。
研修内容はeラーニング(約150分の動画視聴とテスト)または集合研修(6時間)で構成され、費用は3000〜5000円程度です。
この研修を修了することで、認知症の基礎知識や対応方法を学び、現場での業務に活かすことができます。
③介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、ホームヘルパー2級の後継資格で、介護の基礎から応用までを学ぶ入門資格です。受講期間は1~4ヶ月(厚生労働省指定130時間のカリキュラム)、費用は4万~10万円程度です。
修了後は、食事や入浴介助などの基本的な介護業務を行うことができます。受講資格は特になく、未経験者や無資格者でも挑戦できます。
④介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、初任者研修の上位資格で、介護福祉士国家試験の実務経験ルートを目指す際に必須の資格です。研修内容は、介護過程、認知症ケア、医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養)などで構成されます。
受講期間は無資格者で約6ヶ月、初任者研修修了者で約2~4ヶ月(450時間カリキュラムの一部が免除)です。費用は無資格者で10万~18万円、初任者研修修了者で8万~15万円程度です。
⑤介護福祉士
介護福祉士は、介護職で唯一の国家資格です。資格取得には主に3つのルートがあり、最も一般的なのは実務経験ルートです。このルートでは、「介護施設などで3年以上の実務経験を積むこと」、「実務者研修を修了すること」の両方を満たすことで、国家試験の受験資格が得られます。
他には、養成施設を卒業する養成施設ルートや、福祉系高校で定められた単位を修得して卒業する福祉系高校ルートがあります。試験は年に1回、筆記試験と実技試験(免除制度あり)が行われます。
資格取得後は、利用者さまのケアに加え、現場でのチームを支える役割を担うなど、幅広い場面で活躍できます。介護福祉士は全国で需要が高く、就職や転職にも有利な資格とされています。
4.介護職の主な就職先
介護職の就職先は多岐にわたり、働く施設によって仕事内容や勤務形態に違いがあります。以下に主な就職先を挙げ、概要と働く視点での情報を説明します。
特別養護老人ホーム(特養)
要介護3以上の高齢者が対象の施設で、終身利用が可能です。主に入浴介助、排泄介助、食事介助といった身体介護が中心となります。シフト制勤務が一般的で、夜勤がある場合も多いです。
介護老人保健施設(老健)
病院を退院した高齢者が自宅復帰を目指すための施設です。介護職は、リハビリスタッフや医師と連携しながら、身体介護や生活支援を行います。
3~6か月程度の短期間の利用が多く、特養と同様にシフト制勤務が一般的です。
デイサービスセンター
日帰りで施設に通う高齢者を対象とした施設で、日勤が基本です。食事介助や入浴介助のほか、レクリエーションや機能訓練を行います。送迎業務を担当する場合もあります。
訪問介護事業所
介護職が利用者さまの自宅を訪問し、入浴介助や掃除、買い物代行などの生活援助を行います。訪問スケジュールに合わせて動くため、基本的に日勤が中心ですが、夜間対応型の事業所では夜勤がある場合もあります。
グループホーム
認知症の高齢者が少人数で共同生活をする施設です。利用者さまが主体となる生活をサポートしつつ、必要に応じて身体介護や生活支援を行います。夜勤を含む24時間体制のシフト制勤務が一般的です。
介護付有料老人ホーム
民間企業が運営する施設で、食事や入浴介助、レクリエーションなど幅広い業務に携わります。施設によってサービス内容が異なり、接遇が重視される場合もあります。特養と同様、シフト制勤務が多いです。
障がい者施設
身体的・精神的に障がいを持つ利用者さまの支援を行います。生活援助や身体介護に加え、リハビリや就労支援を行う場合もあります。施設によってはシフト制勤務が取り入れられています。
5.資格取得によるキャリアアップと給与アップ
介護職は無資格でも働き始めることはできますが、資格を取得することで業務範囲が広がります。無資格の場合、できる業務は生活援助(掃除・調理・洗濯など)に限られますが、初任者研修を取得すると、身体介護(入浴・食事・排泄の介助など)ができるようになります。さらに、実務者研修や介護福祉士を取得することで、リーダー職やマネジメント業務に携わる道も開けます。
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資格を取得すると、業務範囲が広がるだけでなく、給与面にも反映されます。
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出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf
例えば、介護福祉士を取得すると、無資格の状態から約6万円以上の給与アップが見込めます。資格を取得することで、業務の幅が広がり、キャリアの選択肢も増えます。
ケアマネジャーや社会福祉士などの資格を取得すると、給与の向上に加え、相談業務や管理業務など新たな役割を担うことができます。
6.介護職のキャリアパスと転職
介護職としてのキャリアには他にもさまざまな選択肢があります。
相談業務へのキャリアアップ、管理職への昇進、他職種へのキャリアチェンジ、転職を通じたキャリア形成といった道があり、働き方の幅を広げることが可能です
7.転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用
医療・介護分野での転職には、専門の求人情報プラットフォームであるJobSoel(ジョブソエル)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。
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8.まとめ
介護職は、無資格・未経験の方でも挑戦がしやすいため、
医療福祉業界で活躍することに興味がある方にもオススメな職種のひとつです。
介護職について理解を深めることで転職活動はもちろん就業後にも自分の役に立ちます。
この記事をきっかけに少しでも介護職という仕事に興味を持っていただけたら幸いです。