介護と仕事を無理なく両立!シフト勤務での介護休暇活用法

介護の仕事
掲載日: 2025.09.25
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はじめに
働く皆さんの中には、ご家族の介護と仕事の両立に悩まれている方も多いのではないでしょうか。

特にシフト勤務で働いていると、夜勤明けにそのまま病院へ付き添ったり、わずかな休憩時間に役所の手続きを済ませたりと、日々のスケジュール調整は一層大変です。
また、介護職であるがゆえに「制度に詳しいはず」「自分の親の介護も上手くできるはず」といった周囲の期待を感じ、相談しづらさやプレッシャーを抱えることもあるでしょう。

そんなとき、知っておきたいのが「介護休暇」制度です。これは一般企業の会社員だけでなく、医療・福祉に従事する方も同じように利用できる、法律で定められた制度です。

このコラムでは、介護休暇の基本的な制度内容に加えて、シフト勤務で働く方ならではの課題や、現場の声を踏まえた活用のヒントをご紹介します。
「制度はあるけれど、うちの職場では使いにくい」と感じている方こそ、ぜひ最後までご覧ください。

 

1. 介護休暇とは?制度の基本と対象者  

介護休暇とは、要介護状態にあるご家族の世話や付き添いを行うために取得できる休暇制度です。労働基準法で定められている年次有給休暇とは別に、育児・介護休業法で定められた制度です。

※よく似た名称の「介護休業」は、最長93日まで取得できる長期休業制度であり、本コラムで解説している「介護休暇」とは別の制度です。ここでは短期的に利用できる介護休暇について説明します。

対象となる人は?

介護休暇は、正社員だけでなく、パートや契約社員など雇用形態にかかわらず、一定の条件を満たすすべての労働者が対象になります。
ただし、労使協定が締結されている場合、以下のような方は対象外となることがあります。

  • 入社6か月未満の労働者(※2025年4月1日以降は廃止され、入社直後から取得可能に)
  • 1週間あたりの所定労働日数が2日以下の労働者

どんなときに使える?

介護休暇は、次のような短期的・スポット的な介護ニーズに対応するための制度です。

  • ご家族の通院への付き添い
  • ケアマネジャーなど専門職との打ち合わせ
  • 介護サービスの手続きや立ち会い
  • 一時的な見守りや送迎  など

対象となる家族は、法律で幅広く定められています。主な例としては以下の親族関係が含まれます。

  • 配偶者(事実婚含む)
  • 父母・義父母
  • 子・孫
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹
  • 配偶者の祖父母

※詳細は就業規則厚生労働省サイトをご確認ください。

取得できる日数と単位

取得できる日数は、介護対象となる家族の人数によって異なります。

  • 対象家族が1人:年5日まで
  • 対象家族が2人以上:年10日まで

さらに、2021年からは「時間単位」での取得も可能になりました。
これにより、「午前中だけ病院へ付き添いたい」「数時間だけ外出を手伝いたい」といった場面でも、必要な時間だけ柔軟に休暇を取得することができます。

介護休暇は有給?無給?

介護休暇は、法律上は「無給」が原則とされています。年次有給休暇のように、取得すれば自動的に賃金が支払われるわけではありません。
ただし、介護休暇を「有給扱い」としている企業もあるため、就業規則で確認しましょう。

申請方法

介護休暇は、労働者の申し出によって取得できます。法律上は書面に限らず、口頭での申請も認められています。

とはいえ、実際には会社ごとに申請用紙やシステムが設けられていることが多いです。トラブルを避けるためにも、利用を検討する際は、必ず自社の規定を確認し、上司や人事担当者に早めに相談しましょう。

2. シフト勤務における課題と介護休暇の使いにくさ

制度として「介護休暇」があっても、「実際に使えているか」と問われれば、「難しい」という声が多いのが現状です。
特にシフト勤務で働く介護・医療職の方々は、職場の事情や人員体制の影響を強く受け、制度の利用にさまざまなハードルを感じています。

「迷惑をかけたくない」という心理的ハードル

「有給休暇すら取りにくいのに、介護休暇なんて…」
「自分だけ特別扱いだと思われたくない」
「家庭の事情を職場で話すことに抵抗がある」

こうした思いから、申し出ることに後ろめたさや遠慮を感じる方が少なくありません。
また、制度利用者と非利用者との間で不公平感が生まれることを恐れ、職場全体での調整に頭を悩ませる管理職の姿も見られます。

こうした公平性への懸念については、2025年4月施行の育児・介護休業法改正により、企業には研修や情報提供、職場内でのコミュニケーション整備が義務付けられました。 今後は組織として制度を利用しやすい環境づくりに取り組むことが求められます。

一度決まったシフトは変えにくいという悩み

シフト勤務の職場では、あらかじめ勤務が割り振られているため、急な予定変更がしにくいという課題もあります。

「シフト確定後に休みを申し出るのは申し訳ない」
「夜勤や土日の勤務を外れると、他の人に負担がかかってしまう」

このような不安から、介護休暇の取得をためらう人も多いです。

制度上、労働者には取得を請求できる権利がありますが、実務上は業務に大きな支障が出ないよう、調整が求められます。特に医療・福祉業界では、夜勤や土日祝日勤務の人員確保が難しくなっている背景があり、「誰かが抜ける=他の誰かにしわ寄せがいく」という現実が、制度の活用をさらに難しくしています。

情報不足と手続きの煩雑さ

「制度はあるらしいけど、法人の規定がよく分からない」
「手続きが面倒で結局諦めてしまった」

こうした声もあります。申請に必要な書類や申請フローが明確でないと、それだけで心理的なハードルになってしまいます。

こちらについても、2025年の法改正により、企業には制度の周知や相談窓口の整備が義務付けられました。今後は「情報不足のまま放置される」という状況が改善され、より利用しやすい環境づくりが進むことが期待されます。

3. シフト勤務でも制度を活用するためのヒントと工夫

制度を「知っている」ことと、「使える」ことは別問題です。
特にシフト勤務の職場では、介護休暇を活用するには周囲との連携やタイミングの工夫が欠かせません。

ここでは、実際に制度を利用できた方々の事例や、現場で役立つ工夫を紹介します。

時間単位での取得をうまく活用する

たとえば

  • 午前中に家族の通院に同行するために2時間だけ勤務時間を調整
  • 夕方にデイサービスの迎えが必要なタイミングに合わせて早めに退勤

このような時間単位の取得によって、シフト勤務の中でも介護と仕事を両立しやすくなったという声もあります。

シフト作成前の「早めの相談」がカギ

すでに決定されたシフトの変更は、周囲への影響もあり、なかなか言い出しにくいものです。だからこそ、シフト作成前のタイミングで上司に相談することがポイントです。

予定される通院や介護対応の日について勤務希望を早めに伝えることで、「急な欠勤」とならず、制度を活用しやすくなります。上司やシフト調整担当者との定期的な情報共有を習慣化することも、制度の円滑な活用につながります。

「お互い様」の関係づくり

制度を利用する際の精神的なハードルとして、「同僚に負担をかけてしまうのではないか」という不安を感じる方も多くいます。

しかし、子育てや介護の経験を持つ職員同士で勤務をカバーし合うなど、支え合う分化がある職場では制度が利用しやすくなるという事例も見られました。日頃からのコミュニケーションで「お互い様」の関係があることが、休暇を取りやすい環境づくりにつながるといえます。

公的サービスや外部支援の活用も視野に

介護休暇を取得したとしても、1人で対応しようとすると限界があります。そのため、制度と併用して、介護保険サービスや地域包括支援センターなどの外部の支援を活用することも必要です。

  • デイサービスや訪問介護の活用
  • 地域包括支援センターでの相談・情報提供
  • ケアマネジャーとの連携で手続きを効率化

実際に、こうした外部資源をうまく組み合わせることで、「仕事を休まずに対応できる時間帯を確保できた」「専門家に相談することで安心感が得られた」といった声もあります。

制度を使うだけでなく、頼れる先を増やすことが、無理のない両立のための大切な選択肢となります。

4. 転職時にも確認しておきたい「職場の支援体制」

介護は、突然始まり、想像以上に長く続くことがあります。今は必要ないと思っていても、数年後には状況が変わっているかもしれません。だからこそ、転職活動の際には、介護との両立を視野に入れた職場選びも一つの視点になります。
制度が整っているかどうかだけでなく、実際に使える雰囲気や運用体制があるかどうかも含めて確認しておくと、いざというとき慌てずに対応できます。

転職活動中に確認しておきたいポイント

求人票や面接での会話などを通して、以下のような点を見ておくと、制度が形だけで終わっていないかを判断しやすくなります。

  • 介護休暇や時短勤務制度の利用実績があるか
  • シフト調整や代替勤務の仕組みが現場で機能しているか
  • 制度を利用した際の人事評価やキャリアへの影響が明確になっているか
  • 制度に関して相談できる窓口や面談の場が設けられているか

制度が就業規則に記載されていても、実際に利用されていなければ意味がありません。将来的なライフステージの変化を見据えたうえで、実際に制度が活用されているかどうかに目を向けることが、転職先選びの安心材料になります。

5. 転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用

医療・介護分野での転職には、専門の求人情報プラットフォームであるJobSoel(ジョブソエル)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。

▼求職者様_会員登録ページ
https://jobsoel.com/sign-up
▼企業・法人様_会員登録ページ
https://jobsoel.com/company-sign-up

6.まとめ  

介護休暇は、法律で認められた労働者の権利であり、医療・福祉分野で働く人も同じように利用できます。
ただし、シフト勤務という職場特有の事情から、実際に活用するには周囲との調整や職場環境づくりが欠かせません。
また、将来的なライフステージの変化を見据え、制度が活用しやすい職場を選ぶ視点を持つことも大切です。

無理に抱え込まず、制度や周囲のサポートを頼りながら、安心して働き続けられる環境を整えていきましょう。

参考
厚生労働省

厚生労働省
仕事と家庭の両立の鳥喰を支援する情報サイト 両立支援のひろば

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