求人票の年間休日数に要注意! ― 他業種との比較で見る休日事情
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はじめに
求人票に必ず出てくる「年間休日○日」
でも、この数字って実際どんな働き方を意味しているのか、イメージしにくいですよね。
特に介護職のようにシフト勤務が当たり前の仕事では、「土日祝がお休み」のカレンダー型とは事情がまったく違います。数字だけを見て「休みが多い/少ない」と判断すると、入職してから「思ってた休み方と違う…」とギャップに直面することも少なくありません。
そこでこの記事では、介護職を中心に「年間休日」の基本的な意味や数え方を整理しつつ、カレンダー休みとの違いやシフト制ならではの特徴をまとめました。数字を正しく理解すれば、自分に合った働き方を見つけやすくなりますよ。
目次
1. 年間休日とは?
「年間休日」とは、1年間に会社があらかじめ用意している休みの合計日数のことです。
ここには、法律で必ず与えなければならない休日(法定休日)と、会社が独自に追加する休日(法定外休日)の両方が含まれます。
法定休日と法定外休日
- 法定休日(労働基準法第35条)
 「毎週少なくとも1日」または「4週を通じて4日以上」の休日を与えることが義務づけられています。この休日は、暦日(0:00〜24:00)の24時間にわたり、一切労働がない日であることが基準とされています。事業規模や業種を問わず適用されます。
- 法定外休日(会社が任意で設定)
 会社の就業規則で追加される休みのことです。創立記念日、夏季休暇、年末年始休暇、祝日などがこれにあてはまります。カレンダー通りの土日祝休みも、シフト制の公休日も、この法定外休日にあたります。
労働時間との関係
労働基準法第32条では、労働時間は週40時間以内と定められています(1日8時間×週5日が目安)。1日8時間勤務・週40時間勤務を前提に逆算すると、年間休日の最低ラインは105日です。
ただし、1日の所定労働時間が短い場合は、この限りではなく、105日を下回っても法律的に違反とはなりません。
年間休日に含まれない日
- 年次有給休暇(付与日数や取得時期が個人ごとに異なるため)
- 慶弔休暇、結婚休暇、リフレッシュ休暇、バースデー休暇など、会社独自の特別休暇
これらは休暇制度としては存在しても、年間休日数のカウントには含まれません。
土日祝休みとシフト制の違い
- 土日祝休み(カレンダー通りの休み)
 週5日勤務で、土日と祝日を固定で休むスタイルです。事務職や一部の公務員など、オフィスワーク系の職場で多く見られます。休日の予定が立てやすく、年末年始や大型連休も休める点が魅力です。
- シフト制
 曜日や祝日を問わず、勤務表に基づいて出勤と休日が決まるのがシフト制です。介護施設や病院など、24時間体制で稼働する職場ではこの働き方が一般的です。カレンダー通りの休みは取りにくい一方で、平日に休めることで、役所の手続きや通院などがしやすいという利点もあります。
完全週休2日制と週休2日制の違い
- 完全週休2日制:毎週必ず2日の休みがある働き方。
- 週休2日制:月1回以上は週2日の休みがあるという意味。週によっては1日休みの場合もあり。
2. よくある年間休日数
求人票でよく目にする「年間休日」の数字には、いくつか典型的なパターンがあります。ここでは代表的な日数を紹介します。
年間休日125日
日本で「休みが多い」とされる代表的な水準です。完全週休二日制に、祝日や年末年始・夏季休暇を加えると、およそ125日前後になります。事務職や一部の公務員など、オフィスワーク系の職場で多く見られる数字です。
内訳の目安は以下の通りです。
週休2日(土日) … 約104日
祝日 … 16日(実際は土曜と重なり14日前後)
年末年始・夏季休暇等 … 約4~6日
―― 合計 約125日
年間休日120日
年間休日120日は、月におよそ10日休める計算になります。週休2日(約104日)に加えて、祝日や振替休日の多くが休みに含まれる水準です。
医療や介護といったシフト制の現場では、この水準に達する職場は比較的少なく、「月10日休み」が設定される求人はややレアです。
年間休日110日
年間休日110日は、月におよそ9日休める計算です。週休2日(104日)に加え、夏季休暇や年末年始の休みが数日つくイメージに近いでしょう。
シフト制勤務の職場では、この110日前後が設定されることが多く、介護・医療系では「月9日休み」と求人票に記載されるケースがよく見られます。カレンダー通りとはいきませんが、一定の休みを確保しやすい働き方といえます。
年間休日105日
年間休日105日は、月におよそ8〜9日休める計算です。週休2日制よりもやや少なく、隔週で週1回休みになる週があるイメージに近いでしょう。
医療・介護のシフト制勤務では、この105日前後が比較的多く見られ、「月8〜9日休み」と求人票に記載されることが一般的です。
また、1日8時間勤務を前提にした場合、この105日という数字は「労働基準法上の最低ライン」にあたり、ひとつの目安として使われることが多い日数です。
年間休日96日
年間休日96日は、月におよそ8日休める計算です。
これは「月8日休み」と表記されることが多く、夜勤を含むシフト制を採用している職場ではしばしば採用されている日数です。
また、薬局やクリニックで「日曜固定休+土曜日は午前のみ勤務」などの半日休を組み合わせ、年間96日換算とするケースもあります。半日勤務は法律上、「勤務日」として扱われます。
夜勤明けは「休み」として数えられるの?
医療や介護のシフト勤務では「夜勤明け」という表現がよく使われます。しかし、法律上や就業規則上は夜勤明けを休日に含めることはできません。
休日の定義は「暦日(0:00〜24:00)の24時間にわたり、一切労働がない日」です。したがって、夜勤が翌日の朝まで続く場合、その日には労働が発生しているため、勤務日として扱われます。
【具体例】
- 16日16:00〜翌1:00勤務
 〇16日は勤務日(16:00〜24:00勤務あり)
 〇17日も勤務日(0:00〜1:00勤務あり)
 → 16日も17日も勤務日
- 16日16:00〜翌10:00勤務 → 16日も17日も勤務日
 〇16日は勤務日(16:00〜24:00勤務あり)
 〇17日も勤務日(0:00〜10:00勤務あり)
 → 16日も17日も勤務日
このように、夜勤が翌日までまたぐ場合、その翌日も「勤務日」にカウントされます。夜勤終了後に午後以降の時間が空いていても、それは「勤務後の時間」であって“休日”には含まれません。
3. 他業界との比較:医療・介護の休日は少ない?
厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査」によると、全産業の労働者1人あたり平均の年間休日数は116.4日でした。
これは調査開始以来もっとも多く、全体的に「休みが増えてきている」傾向が見て取れます。
業種別の年間休日(労働者1人平均).jpg)
他業界を比べてみると
- 多い業種:情報通信業(122.3日)、金融業(120.6日)
 → カレンダー型勤務で完全週休二日制が中心
- 少ない業種:宿泊業・飲食サービス業(105.8日)、運輸業(108.3日)
 → 週休2日の確保が難しい職場もある
医療・福祉の位置づけ
医療・福祉は 114.3日 で、全産業平均よりやや少なめ。極端に少ないわけではなく、統計上は「中間~やや少なめ」といえます。
ただし、医療・介護の現場には特有の事情があります。
- 365日稼働が前提で、土日祝の勤務も珍しくない
- 利用者・患者対応が途切れず、交代勤務や夜勤が不可欠
- 変形労働時間制の導入が多く、休日や勤務時間が不規則になりやすい
このように、数字だけでは「少ない」と断定できないものの、休みのとり方が不規則で休養感を得にくいことが、医療・介護の職場の特徴といえます。
4. 年間休日の“質”もチェックすべき理由
「年間休日数○日」と明記されていても、それだけで職場の働きやすさを判断するのは難しいものです。特に医療・介護業界のように、シフト勤務が基本となる現場では、休日数以外の運用面が日々の働きやすさに大きく影響します。
希望休やシフト調整のしやすさ
年間休日が多くても、「希望休がとれない」「急な休みが取りにくい」という状況では、不満が残ります。一方、年間休日が105日程度でも、希望休が通りやすく、連休の調整が柔軟にできる職場であれば、「働きやすい」と感じる人も多いでしょう。
連休や長期休暇の有無
カレンダー通りの大型連休が取りにくいのも、医療・介護現場の特徴です。年間休日は平均的であっても、「連休がとれない」「お盆や年末年始も出勤」といった働き方では、疲労が蓄積しやすくなります。
生活リズムとの相性
交代制勤務が基本となるため、勤務時間が日によって変わることも多く、生活リズムを整えにくいという課題もあります。数字上の休日が十分にあっても、「休んだ気がしない」と感じるのはこのためです。
職場ごとの違い
同じ業界・同じ年間休日数であっても、シフトの組み方や希望休の運用ルールは職場ごとに異なります。変形労働時間制を採用しているところもあれば、比較的固定されたパターンでシフトが決まっている施設もあります。
残業との関係
年間休日としての設定日数が多くても、日々の残業が多い職場では「実際には休めていない」と感じることがあります。特に人員不足の現場では、業務量が限られたスタッフに集中しやすく、休日数と労働時間のバランスが崩れがちです。こうした環境では、休日があっても疲労が蓄積しやすくなり、働きやすさを実感しにくくなることもあります。
年間休日の“数字”は、休みの量を示す目安にはなりますが、「どんなふうに休めるか」という“質”までは表していません。求人票の数字だけで判断せず、見学や面接の場で実際のシフト運用や休暇のとり方を確認することが重要です。
5. 転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用
「休日数は多ければ安心」と思いがちですが、実際は休み方や働き方によって印象は大きく変わります。求人票だけでは見えにくい部分を知るには、実際の求人情報を比較してみるのが一番です。
医療・介護分野で転職を考えるなら、専門の求人プラットフォーム JobSoel(ジョブソエル) の活用も選択肢のひとつです。
JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。
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6. まとめ:休日数の多さ=働きやすさ、とは限らない
ここまで「年間休日」の考え方や、医療・介護職ならではの事情を見てきました。
振り返ると
- 休日数が多い=働きやすい、とは限りません。
- 医療・介護は105〜110日前後が一般的で、数字は平均並みでもシフトや夜勤で不規則になりがちです。
- 希望休・連休の取りやすさ、勤務リズムとの相性など「休みの質」が実際の働きやすさを左右します。
つまり「年間休日の数字」はあくまで目安。求人票だけで判断せず、見学や面接で休み方を具体的に確かめることがポイントになります。
休みが「何日あるか」だけでなく、「どんなふうに休めるか」も大切です。あなたにとって、より大事なのはどちらでしょうか?
参考:
厚生労働省 令和6年就労条件総合調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/24/index.html
公益財団法人介護労働安定センター 令和5年度 介護労働実態調査結果
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/2024r05_chousa_01.html

 
                         
                         
                         
                         
                        