「みなし残業代(固定残業代)あり」の求人は大丈夫?求人票で確認したいポイント
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はじめに:
固定残業代(みなし残業代)は、正しく運用される限りにおいて、労働基準法に基づいた正当な賃金支払制度の一つです。ここでは、「みなし残業代あり」と書かれた求人が問題ないのかを見分けるポイントを解説します。
目次
- 1. みなし残業(固定残業代)制度とは?
- ① 制度の定義と基本的な仕組み
- ②「みなし労働時間制」との違い
- 2. サービス残業との違い
- ① 超過分の支払い義務
- ② 実際の残業が少なくても減額されない
- 3. 医療・介護業界で導入される一般的な背景
- ① 給与計算事務の効率化
- ② 人件費の予測と管理
- ③ 職員の生活の安定と採用上の理由
- 4. 求人票で確認したいポイント
- ① 固定残業代を除いた「基本給」が明確に区分されているか
- ② 固定残業代の「時間数」と「金額」が対応して書かれているか
- ③ 設定された時間を超えた場合の扱いが明記されているか
- ④ 固定残業代が他の手当と分けて記載されているか
- ⑤ 基本給が最低賃金を下回っていないか
- 5. 転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用
- まとめ
1. みなし残業(固定残業代)制度とは?
① 制度の定義と基本的な仕組み
「固定残業代」(一般に「みなし残業代」とも呼ばれます)とは、実際の残業時間の長さにかかわらず、あらかじめ設定された一定時間分の割増賃金(残業代、深夜手当、休日手当)を、毎月固定額で支払う制度のことを指します。
例えば、求人票に「月20時間分の固定残業代として3万円を支給する」と記載されている場合、実際の残業時間が10時間であったとしても、約束された3万円全額が支払われます。一方で、実際の残業時間が20時間を超えた場合には、会社はその超過分に対して別途、差額を支払う義務があります。
②「みなし労働時間制」との違い
よく混同される言葉に「みなし労働時間制」がありますが、これらは全く異なる制度です。
• 固定残業代:実際の労働時間を管理した上で、賃金の「支払い方」を定額にするもの。職種を問わず導入可能です。
• みなし労働時間制:業務の性質上、労働時間の算定が困難な場合に、一定時間働いたと「みなす」もの。営業職や専門職など、対象が限定されています。
「みなし残業だからタイムカードは不要」という考え方は誤りです。固定残業代制であっても、企業には従業員の労働時間を適正に把握する法的義務が継続して存在します。
2. サービス残業との違い
「みなし残業」はサービス残業と混同されやすく、制度の内容について誤解されている点も少なくありません。
① 超過分の支払い義務
固定残業代制は「定額働かせ放題」の制度ではありません。前述の通り、あらかじめ設定された「固定残業時間」を1分でも超過した場合には、追加の割増賃金が発生します。この追加支払いを怠ることは労働基準法違反であり、いわゆる「サービス残業」となります。
② 実際の残業が少なくても減額されない
サービス残業は労働した分が支払われないことですが、固定残業代制はその逆の側面を持ちます。実際の残業時間が設定された時間に満たなかったとしても、会社はあらかじめ定めた固定残業代を減額して支払うことはできません。求職者にとっては、効率的に仕事を終えて残業を減らすほど、同じ給与でも実質的な時給が高くなると考えることもできます。
3. 医療・介護業界で導入される一般的な背景
医療・介護・福祉の現場において固定残業代制度が導入される背景には、業界特有の事情と、経営・実務上の利点が一般的に挙げられています。
① 給与計算事務の効率化
医療機関や介護施設では、突発的な対応や引継ぎなどで、日々短時間の残業が発生しやすいという実情があります。毎月、数分単位の残業時間を集計し、個別に計算する手間を省くため、一定時間分をあらかじめ固定給に含めることで、給与計算業務を簡素化する目的で導入されることがあります。
② 人件費の予測と管理
経営側の視点では、月々の残業代の変動を抑えることで、人件費の予測を立てやすくし、利益計画や資金繰りの見通しを安定させるメリットがあるとされています。
③ 職員の生活の安定と採用上の理由
職員にとっては、残業の有無にかかわらず毎月の給与総額が一定レベルで保証されるため、生活設計が立てやすくなるという側面があります。また、求人票においては、固定残業代(手当)を加算することで見かけ上の月給総額が高くなり、同業他社と比較した際の採用上の訴求力を高める手段として用いられることもあります。
4. 求人票で確認したいポイント
公的機関(厚生労働省など)は、求職者とのトラブルを防止するため、求人票に固定残業代に関する詳細を明示することを事業主に義務付けています。求人票を読み比べる際は、以下の項目が具体的に記載されているかを確認しておくとよいでしょう。
① 固定残業代を除いた「基本給」が明確に区分されているか
まず確認したいのは、基本給と固定残業代が分けて記載されているかです。
総支給額の中にどれだけの固定残業代が含まれているかを判断するため、「基本給」の額が独立して記載されている必要があります。
【OK例】
・基本給:200,000円
・固定残業代:30,000円
【NG例】
・基本給:230,000円(残業代含む)
内訳が分からない表記は、適切とは言えません。
② 固定残業代の「時間数」と「金額」が対応して書かれているか
固定残業代については、「何時間分の時間外労働に対して、いくら支払われるのか」 という内容が明示されている必要があります。
【OKとされる記載例】
・固定残業代(時間外手当):20時間分(30,000円)
※20時間を超える時間外労働分については、別途割増賃金を支給
時間数と金額の両方が具体的に書かれているかを確認しましょう。
③ 設定された時間を超えた場合の扱いが明記されているか
固定残業時間を超えて残業した場合に、「超過分は別途支給する」 旨が記載されているかを確認します。
この点が明記されていない場合、制度の運用が適切でない可能性も考えられます。
④ 固定残業代が他の手当と分けて記載されているか
固定残業代として含められるのは、時間外労働・深夜労働・休日労働に対する割増賃金に限られます。
夜勤手当、資格手当、処遇改善手当など、労働時間とは性質の異なる手当を、固定残業代としてまとめて扱うことはできません。
求人票に複数の手当が記載されている場合は、固定残業代が他の手当と区別して記載されているかを確認することが重要です。
【OK例】
・固定残業代:30,000円
・夜勤手当:5,000円/回
・資格手当:10,000円
【NG例】
・諸手当(固定残業代・夜勤手当・資格手当含む):50,000円
⑤ 基本給が最低賃金を下回っていないか
固定残業代は割増賃金にあたるため、最低賃金の計算には含まれません。基本給(および最低賃金算定の対象となる手当)を所定労働時間で割った1時間あたりの賃金が、都道府県別の最低賃金を下回っていないかも確認しておきましょう。
5. 転職活動とJobSoel(ジョブソエル)の活用
医療・介護分野での転職には、専門の求人情報プラットフォームであるJobSoel(ジョブソエル)の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
JobSoelでは、全国の医療福祉に関する職種の求人情報を検索できるほか、施設の雰囲気や具体的な取り組みを知ることができます。
新しい職場での働き方や成長のチャンスを具体的にイメージしながら転職活動を進められるので、安心して検討できますよ。
自分に合った職場を見つける一助として、ジョブソエルを活用してみてください。効率的に転職活動を進めるための心強いツールとなるでしょう。
▼求職者様_会員登録ページ
https://jobsoel.com/sign-up
▼企業・法人様_会員登録ページ
https://jobsoel.com/company-sign-up
まとめ
近年は法令遵守の意識が高まり、固定残業代についても求人票での明確な記載が義務付けられるなど、以前より透明性は高まっています。
「みなし残業代」という言葉に不安を感じるかもしれませんが、制度の仕組みを正しく理解し、求人票の記載事項を丁寧に読み解くことで、その求人が法令を遵守し、透明性の高い運用を行っているかを判断する一助となります。
もし記載内容に不明な点がある場合は、面接等の場で具体的な計算方法や超過分の支払実績について確認することも、ミスマッチを防ぐための有効な手段となります。
参考:
厚生労働省:「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000184068.pdf
厚生労働省:青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097679.html
労働基準監督署:求人内容を明確に記載しましょう!
https://jsite.mhlw.go.jp/yamanashi-roudoukyoku/content/contents/001723337.pdf
